神殺しのクロノスタシス〜外伝集〜

やがて、会議室に聖魔騎士団の隊長達が集結。

…したのだが。

「…シュニィとアトラスは何処だ?」

「…さぁ…」

…肝心の、聖魔騎士団団長と副団長が来てないんだけど。
 
おい。あいつらがいないと何も始まらないぞ。

「暇だなー。九官鳥食べたいな」

ほら。ベリクリーデが暇を持て余して、九官鳥を取っ捕まえて食べようとしている。

これはすぐに何とかしないと不味いぞ。

すると、そこに。

「す、すみません。遅くなりましたっ…」

「すまん。待たせた」

時間より5分くらい遅れて。

シュニィと、その旦那であるアトラスが会議室にやって来た。

おぉ。やっと来たか。

遅れたって言っても5分程度だし、ベリクリーデも九官鳥を食べる前だったし、別に良いぞ。

「とてもとても大事なものを見ていたら、つい時間が経つのを忘れてしまってな」

「私がアトラスさんを、部屋まで呼びに行ったんです…。間に合わなくて申し訳ありません」

あ、そうだったのか…。

…しかし、とてもとても大切なもの、って何だ?

聖魔騎士団団長であるアトラスが「大切なもの」って言うくらいだから…。

…もしかして、今日の会議の議題になるのだろうか?

重大なニュースとか?すぐに皆で話し合わなければならない緊急事項か?

最近は、諸外国との関係も不安定になっているし…。

突然、いつ、不測の事態が起きてもおかしくはない。

さっきまでベリクリーデやキュレムと、和やかに放していたのが嘘のように、俺は緊張を強めた。

相変わらず、何事もなかったようにぽやんとしているのは、ベリクリーデだけだ。

俺は思わず前のめりになって、アトラスに尋ねた。

「おい、アトラス。とても大切なものって、一体何があっ、」

「あぁっ…!ジュリスさん、聞いたら駄目です!」

シュニィが青ざめ、咄嗟に俺を止めた。

…え?

その時には既に、アトラスの目は爛々と輝いていた。

「よくぞ聞いてくれたジュリス!!」

ひぇっ。

唾を飛ばすほどの大声で返事をされ、俺はびくっ、と身体を震わせた。

アトラスの横では、シュニィが「あぁ…」みたいな顔をしていた。

は?ちょ、なん、何なんだよ?

困惑していると、俺の横でぽやんと座っていたベリクリーデが、

「ジュリス、ぽちっ、だよ」

と言った。

「は?ポチ?」

「うん。スイッチが、ぽちっ」

…って、それどういう意味だよ、と思ったが。

それはすなわち、アトラスの…押してはいけないスイッチを押してしまった、ということである。