神殺しのクロノスタシス〜外伝集〜

「よーし。お熱も下がったことだし、外に遊びに行こ、」

「こら。待て」

「ほぇ?」

俺は、子犬のように外に出ていこうとするベリクリーデの肩を、ガシッと掴んで止めた。

危ないところだった。

そういうの。そういうのが良くないんだって。

「まだ駄目だ。今日一日は、部屋で大人しくしてろ」

「えっ」

えっ、じゃないんだよ。当たり前だろ。

「お熱、もう下がったよ?」

俺に騙されて、服薬ゼリーで風邪薬を飲んだお陰だな。

それは良かったけど、でもだからって、外に出てはしゃいで遊んで良い訳じゃない。

「知ってる。でも、まだ外に出るのは駄目だ」

「なんで?」

「今無理をして、風邪がぶり返したらどうするんだよ」

一回熱が引いたからって、まだ安心は出来ない。

免疫も、体力もだいぶ落ちてるはずだし。

治ったはずの風邪がぶり返して、また寝込むようなことになったら、目も当てられない。

風邪が治ったのに、大人しくベッドで横になってるのは苦痛だろうけど。

でも、明日以降の健康の為に、今日は我慢するべきだ。

「今日は大人しくしてなさい」

「えー」

「えーじゃない」

可哀想だけど、ここは譲らないぞ。

「…じゃあ、ジュリス、遊んでくれる?」

「は?」

「お部屋で一緒に遊んでくれる…?」

「…」

何で俺が、と言いたいところだったが。

…どうせ俺が見張ってなかったら、すーぐベッドを抜け出してうろちょろするからな。

どうせ見張ってなきゃいけないなら、遊びでも何でも付き合ってやるよ。

「…分かった。良いよ」

そう答えると、ベリクリーデの顔がぱっと輝いた。

「ほんとっ?良いの?」

「良いよ」

「やったー。ありがとうジュリス。大好き」

はいはい。そりゃどうも。

「じゃ、舞踏会ごっこしよう」

は?

「私、白雪姫やるから。ジュリスはシンデレラやってね」

…王子様は?

部屋遊びに付き合ってやると言ったことを、俺は早くも後悔し始めていた。

が、今更嫌とは言えなかった。



…畜生。









END