神殺しのクロノスタシス〜外伝集〜

俺は、心の中でガッツポーズを決めた。

俺の作戦勝ち。

俺が何をしたのか、既に分かっているな?

さっきのゼリーの中には、風邪薬が入っている。

このぶどうゼリーは、所謂、服薬ゼリーというものである。

ベリクリーデみたいな駄々っ子でも、錠剤が喉につかえて飲みにくい人でも。

このゼリーに薬を混ぜて飲み込むだけで、簡単に薬を胃に送り込むことが出来るのだ。

見てみろ、このベリクリーデを。

あんなに嫌がってた風邪薬を、ゼリーに紛れて飲まされたことに、全く気づいていない。

よしっ。

用意しといて正解だったな。ありがとう服薬ゼリー。

「さて、それじゃ、あとはゆっくり休んでな」

「ん〜…」

風邪薬を飲んだのだから、あとは温かくして、ゆっくり休むだけ。

しかし、ベリクリーデがベッドに横たわることはなかった。

「…?どうした?」

まさか、バレたか?

騙して風邪薬を飲ませたことに憤慨しているのか、と思ったが。

そういうことではないらしく。

「…て、くれる?」

「はい?」

「…一緒に居てくれる?」

と、聞いてきた。

「…え…」

「…一緒に居てくれる…?」

もう一度聞いてきた。

…。

「…居てやるよ。ちゃんと、傍に」

「ほんと?」

「あぁ。約束する」

これは嘘じゃなかった。

騙すつもりもなかった。

「だから、ゆっくり休め。な?」

「うん…」

ベリクリーデは安心したように、枕に頭を預け。

しばらくすると、またさっきの間抜けな寝顔で眠り始めた。

…やれやれ。世話の焼ける奴だよ。