神殺しのクロノスタシス〜外伝集〜

ベリクリーデが寝ている間に、俺は忙しく動いていた。

ベリクリーデが起きて、こっそりちょろちょろしてないかどうか。

そして、突然熱が上がったり、咳き込んだり、容態が変わっていないかどうか確認する為に。

俺は、10分おきにベリクリーデの部屋を訪ねては、様子を確かめた。

…一応、大人しく寝ていた。








何度目かに、ベリクリーデの部屋を訪ねた時。

「…zzz…」

間抜けな顔をして眠るベリクリーデの顔を、じっと眺めてみた。

…顔は赤いままだが、よく眠っている。

昨晩、ろくに寝てなかったからだろう。

それで良い。睡眠は、何よりの薬になる。

「…しっかし、間抜けな顔だな…」

どんな夢を見てるんだろうな?…今…。

この間抜けな顔を見たところ、悪夢を見ている訳ではなさそうだが…。

寝顔だけは無邪気で無垢で、さながら眠り姫のよう、

「…ふぇっ」

「うわっ」

俺の視線に気付いたかのように、ベリクリーデが突然、ぱちっ、と目を開けた。

び…びびったぁ…。突然起きるもんだから。
 
…もしかして、寝顔をまじまじと見てたの、バレた?

「お、おぉ…。…起きたか…」

「…ふわぁ〜…」

ベリクリーデは口を大きく開けて、だらしなく大あくび。

こらこら。女の子が大口を開けて。

「どうだ?具合、良くなったか?」

「…ん〜…」

その浮かない顔を見るに、あまり良くなってはいないようだな。

念の為、ベリクリーデのおでこに手を当ててみたが。

案の定、まだ熱いままだった。

どうやら、そう簡単には熱が下がってはくれないようだな。
 
良いだろう。その為に、俺も色々用意してきたんだから。

「ベリクリーデ…。喉、渇いてないか?何か飲むか?」

「…んん〜…」

「喉渇いてなくても、水分はとっておけよ。…ほら、これ作ったから飲んでみろ」

俺は、お手製のスポーツドリンクを差し出した。

ミネラルウォーターに、塩とはちみつ、それにレモン汁を垂らして作った、自家製スポーツドリンクだ。

身体を冷やさないよう、冷たくはせず、常温で保存しておいた。

「くぴくぴ」

「よし」

飲んでる、飲んでる。

やっぱり、ベリクリーデも無意識のうちに、喉が渇いていたらしい。

あっという間に、作っておいたスポーツドリンクの半分を飲み干してしまった。

後で追加、作っておこう。

「他に何か飲むか?」

何でも取り揃えてあるぞ。

白湯、生姜湯、すり下ろしたリンゴ果汁。

それに卵酒と、ベリクリーデの好きなバナナジュースも。

何でもござれだ。

…しかし。

「…」

ベリクリーデは、ふるふる、と首を横に振った。

…ほう?