神殺しのクロノスタシス〜外伝集〜

「…毛布が大量にあるのは?」

「お水、浴びたら寒くなっちゃったから。お布団いっぱいかけようと思って」

「…」

「お水浴びたり、毛布かけたりしてたの」

…昨日一晩中、そうしてたってか?

発熱によって体温が上がり、それを頭から水被って冷まし。

今度は寒くなったから、毛布を被って体温を上げて。

そしたらまた暑くなったから、また水を被って…を、繰り返していたと。

…どうなってんの?お前んちの風邪の治し方。

どう教わったらそうなるんだよ。馬鹿野郎。

そういや、熱中症になった時も、見当違いな方法で治そうとしてたっけ。

「俺、お前のこと常々馬鹿だと思ってたが、今日ほど馬鹿だと思ったことはないよ」

「えっ」

風邪引いてなかったら、脳天にチョップを食らわせてやるところだった。

命拾いしたな。

「そんな馬鹿な風邪の治し方があるか。大人しく寝てろ!」

「ふぇぇぇ」

全く俺がちょっと目を離したら、すぐこれだ。

やっぱり昨日、無理してでも王都に帰るべきだった。

…なんて、今更言ってもどうしようもないが。

「良いかベリクリーデ。俺が許可を出すまで、ベッドから離れるんじゃないぞ。寝てろ」

「だって。つまんないよぅ」

「良いから寝てろ!」

どうせこいつのことだ。

具合が悪くても、「つまんない」とか、「退屈」とか言って、うろうろちょろちょろしてたんだろ。

だから風邪が悪化するんだ。

俺が帰ってきたからには、もう好き勝手させない。

大人しく寝てもらうぞ。

「ほら。でんでん太鼓、傍に置いといてやるから」

お守りのように、枕元にでんでん太鼓を置いておく。

するとベリクリーデは、口元まで毛布を被り。

しばらく、もごもごしていたのだが…。

俺がじっと睨みを利かせていた為、逃げられないと悟ったのだろう。

「…zzz…」

…ものの10分程で、すぴーすぴーと寝息をたて始めた。

よし。それで良い。