神殺しのクロノスタシス〜外伝集〜

ーーーーー…翌日。

ろくに眠れないまま、俺はホテルのベッドの上で朝を迎えた。

…ベリクリーデ、今頃どうしてるだろうか?

そのことが気になって、気になって、眠れなかったのである。

畜生。何で俺がこんなに、あいつのことを気にしなきゃいけないんだよ。

だけど、気になるものは気になる。

俺は朝一番でチェックアウトして、真っ先に帝都に向かった。

最初は早足でスタートしたが、気がつくと、駆け足になっていた。




「ベリクリーデっ…!戻ったぞ!」

俺は息を切らして、聖魔騎士団魔導隊舎に戻ってきた。

…の、だが。

そこは、阿鼻叫喚の様相を呈していた。

「ほぇ〜。…ひらほれふぇ〜…」

「べ、ベリクリーデさん。駄目ですよ。部屋に戻ってください」

「や、やら…。ぐずっ、じゅりす、ジュリスまひゅの…。…ぐじゅぐじゅ」

「やべぇよこれ。どうすんの?ルイーシュ、どうすんの!?」

「俺に聞かないでくださいよ…」

…何やってんの?

状況を説明すると、魔導隊舎の玄関先に、ベリクリーデが蹲っている。

昨日俺が渡した、でんでん太鼓を大事そうに抱き締めて。

そのベリクリーデは、盛大に鼻水を垂らして、そして真っ赤な顔をして。

ぐじゅぐじゅと、鼻声で喋っている。

そんなベリクリーデを取り囲むように、シュニィとキュレムとルイーシュが。

…マジで何やってんの?

シュニィは何とかベリクリーデを宥めようと、努力しているようだったが。

ベリクリーデは、頑として動かない。

「とにかく、ジュリスさんが帰ってくるまではこの人、動きませんよ」

「で、でも、このままじゃもっと悪化してしまう恐れが…」

「…仕方ない。荒療治だが…麻酔弾でも撃って眠らせるか?」

キュレムはとんでもないことを言って、愛用の魔銃を召喚した。

ちょ、待て。お前ら。

ベリクリーデに、何をしようとしてるんだ。

「お、おい。お前ら…!」

慌てて、急いで姿を現すと。

「あっ…!ジュリスさん…!」

「ジュリス!!てめぇ!」

「ようやく帰ってきましたね」

シュニィとキュレムとルイーシュが、真っ先に気づき。

「ベリクリーデちゃん!ジュリスだぞ。ジュリスが帰ってきたぞ!」

と、ベリクリーデの肩を揺すりながら言った。

するとベリクリーデは、しゅばっ、と顔を上げた。

…鼻を垂らしながら。

「…!…じゅりす…」

「…ベリクリーデ…」

…たった半日ほど、離れていただけなのに。

何だか、凄く久し振りに再会したような気がするのだから、不思議だ。