神殺しのクロノスタシス〜外伝集〜

息を吹き返したように、しゅばっ、とこちらを向くベリクリーデちゃん。

お、おぉ。びっくりした。

「…ジュリスがどうしたの?ジュリスに何かあったの?」

「え、えぇと…ジュリスさんから連絡があって…。…任務が長引いてて、今夜はもう帰れないそうです」

「…」

この時のベリクリーデちゃんの、絶望した表情。

ジュリス何やってんだよ。馬鹿野郎。

任務長引かせてる場合じゃないだろ。

まぁでも、ジュリスは器用な奴だからな。

要領も良いし。

そんなジュリスが、「任務が長引いてる」と言うんだから。

きっと、ジュリスも予想していなかった不測の事態が起きたんだろう。

だからって、帰ってこなくて良いとは言ってないぞ。

「今日は現地のホテルに宿泊して、明日朝一番に戻ると…」

「…」

「…あの、ベリクリーデさん。大丈夫ですか?」

「…しゅーん…」

「…」

めちゃくちゃ落ち込んじゃった。

あぁ…可哀想に。

「だ、大丈夫ですよ。明日には帰ってくるそうなので…」

「…」

違うんだよシュニィちゃん。そうじゃないんだ。

明日帰ってくることじゃなくて、今夜帰ってこないことが問題なんだ。

「あ、あの、ベリクリーデさん」

「…」

ベリクリーデちゃんは、しょんぼりと落ち込んだまま。

片手に大事にでんでん太鼓を持って、すっく、と立ち上がり。

ふらふらと、覚束ない足取りで隊舎の中に入っていった。

…。

…あれは相当ダメージを受けてるぞ。

「だ…大丈夫でしょうか、ベリクリーデさん…」

「…大丈夫だと良いんだけどな…」

ベリクリーデちゃんにとっては、長い夜になりそうだ。

…気の毒に。