神殺しのクロノスタシス〜外伝集〜

それから俺とルイーシュは、宣言通りざるそばを食べたのだけど。

食べている間もずっと、ベリクリーデちゃんのことが気になって仕方なかった。

…大丈夫かなぁ?ベリクリーデちゃん…。

食堂にいた別の隊員に聞いてみたところ、今日のジュリスは、一人任務で出掛けているのだとか。

ふーん。それでベリクリーデちゃんが一人置き去りに…。

でも夜までには戻るって言ってたのに、一体何処で油を売ってるんだか…。

あんまり気になったので、俺達は食後に、また魔導隊舎の玄関に向かった。

外はすっかり暗くなって、かなり肌寒くなっている。

…けれど。

「…でんでん…」

ベリクリーデちゃんは、未だに玄関先に座り込んで。

でんでん太鼓を見つめながら、ジュリスの帰りを待ち続けていた。

何この忠犬。

「ベリクリーデちゃん、あんた、まだいたのか…」

思わず声をかけてしまった。

「…だって、ジュリスが帰ってこないんだもん…」

帰ってくるまで、ずっとここで待ってるつもりかよ?

「…へくちゅっ…」

ほら、くしゃみしちゃってるし。

外寒いんだよ。こんなところで待ってりゃ、そりゃくしゃみも出る。

「もう良いって。今晩はきっと帰ってこねぇんだよジュリス。中で待ってようぜ」

と、俺が諦めるように諭しても。

「…いや」

と言って、ベリクリーデちゃんは頑なにその場を動かない。

動かざること、漬物石の如し。

そうか…。そこまでして、ジュリスのことを…。

「…何だろう。ベリクリーデちゃんめっちゃ良い子だな、って思う反面、ジュリスの横っ面を思いっきりぶん殴ってやりたい衝動に駆られている」

「奇遇ですねキュレムさん。俺もです」

「そうか」

ジュリス。お前は大罪人だよ。

それにしたって、このベリクリーデちゃんをどうしよう。

このままじゃ、マジで朝までこの場所に居座って。

ジュリスが帰ってくるまで、一歩も動かないだろう。

「どうすれば…」

何とか説得する方法を考えていた、その時。

「あっ…。ベリクリーデさん、こんなところにいらしたんですね」

「ん?」

振り向くと、そこにシュニィがいた。

息を切らしているようで、どうやら、ベリクリーデちゃんを探して、隊舎内を走り回っていたようだ。

「それに、キュレムさんとルイーシュさんも…。えっと、お二人はどうして…?」

「え?いや…。…帰ってきたら、ベリクリーデちゃんがこの通り、めっちゃヘコんでたから…」

「気になったので、こうして説得してたんですが」

今のところ、説得に応じてくれそうにない。

「で、シュニィはどうしたんだ?」

「あ、はい。ついさっきジュリスさんから連絡があって…」

というシュニィの言葉に、ベリクリーデちゃんが反応した。