神殺しのクロノスタシス〜外伝集〜

ーーーーー…一方、その少し前。

俺とルイーシュはその時、任務を終えて聖魔騎士団魔導隊舎に戻ってきたところだった。

「はぁ〜。今日も疲れたなぁ…」

「そうですね」

「今日、晩飯何にする?」

「そうですね…。…キュレムさんは何食べたいです?」

え、俺?…そうだなぁ…。

「…中華とか?」

「成程、それは良いですね。じゃあ今日はざるそばでも食べましょうかー」

中華じゃねぇし、それ。

ざるそば食べたいなら、ざるそば食べたいって言えよ。

天邪鬼か。

って、ルイーシュの言動にいちいち正論返してたら、キリがない。

しょうがない。じゃあ今夜はざるそば、

…と思っていると。

「でんでんでーん。…でんでん。…へくちっ」

…聞き覚えのある声が聞こえてきた。気がする。

ルイーシュも聞こえたらしく、俺達は同時に声の方向を見た。

すると。

「…くしゅんっ。…ぷるぷる…」

「…」

「…でんでーん」

「…」

…あそこにいるのって。

「…あれベリクリーデちゃんじゃね?」

「ベリクリーデさんですね」

「…手に持ってるの、あれ何だと思う?」

「さぁ…。何でしょうね、あれ…」

ベリクリーデちゃんが、魔導隊舎の玄関付近に体育座りして。

そこで、何やら玩具みたいなものを、でんでん言いながら回して遊んでいた。

…何だあれ?

つーか、ベリクリーデちゃんだけ?ジュリスは?

きょろきょろと周囲を見渡すが、ジュリスの姿は何処にもなかった。

ベリクリーデちゃんが一人だけ。

「でんでん。…へくしゅっ!…」

大きなくしゃみをして、それから。

「…ぐすん」

涙目で、体育座りをした自分の膝に顔を埋めた。

おいおいおい。これはちょっと見過ごせないぞ。

ベリクリーデちゃんを泣かせるなんて、一体何事だよ。

月に代わって、いやジュリスに代わってお仕置きよ。

「ベリクリーデちゃん!大丈夫か」

「…あ、キュレム…」

涙目のベリクリーデちゃんが、かすかに顔を上げた。

「どうした?こんなところで。…それ、何持ってんだ?」

「これね、でんでん太鼓って言うの。…知ってる?」

「いや…まぁ、一応知ってるけど…」

でんでん太鼓って、あれだろ?

古い駄菓子屋さんとかに売ってる、昔の子供が遊んでたアレ…。

あれを、ベリクリーデちゃんは大事そうに持っていた。

「これね、ジュリスが作ってくれたの」

「へぇー…。…器用だな、あいつ…」

でんでん太鼓なんて、どうやって作るんだよ。

ちゃんとでんでん言ってるし。

「ジュリスが作ってくれたから、私の宝物なんだよー」

と言って、でんでん太鼓を大事そうに、ぎゅっと抱き締めるベリクリーデちゃん。

…これはいじらしい。