神殺しのクロノスタシス〜外伝集〜

で、その後本当に警察を呼んだところ。

おじいちゃんは、本当に警察が来るとは思ってなかったらしく。

要請を受けて来てくれたポリスメンの姿を見るなり。

急にへこへこし始めて、態度が変わったようにしおらしくなった。

何だよこいつ。って、俺も解体業者のお兄さんも思った。

急に大人しくなったおじいちゃんは、「もう聖魔騎士団の人に迷惑かけちゃ駄目だよ」と警察に言われ。

「はい、分かりました」と素直に答えて、自分の家に帰っていった。

…本当に、何なの?

さっきまでの、俺達の苦労を返せよ。

で、その頃には既に、ほぼ日が落ちていた。

その後、俺はようやく仕事に取り掛かることが出来た。

解体作業自体は、それほど難しいものじゃなかった。

ほんの30分足らずで、あっという間に終わった。

…が、時刻は既に夜。

ベリクリーデが待っていることだし、出来るだけ早めに帰りたかった。

俺の帰りが遅いことを、心配しているに違いない。

でんでん太鼓を手に、「帰ってこないなー…」と呟くベリクリーデの顔が思い浮かんで。

アトラスじゃないけど、このまま走って帝都まで帰ろうかとさえ思った。

しかし、俺はそれほど脳筋ではない。

あれこれ手段を考えたけれど、やはり今夜中に帝都に戻るのは無理そうだった。

あのおじいちゃんの罪は重い。

…結局、俺は今日中に帰ることを諦め。

帝都にいるシュニィに事情を話し、今日はこちらに泊まることを説明した。

明日には帰る。明日の午前中には帰る。絶対。

それまで、ベリクリーデが大人しく、良い子に待っていてくれれば良いのだが…。



…しかし。

俺が不在だったこの夜、ベリクリーデが「あんなこと」になっていると知っていれば。

俺は、何が何でも、意地でも、それこそアトラスみたいに走ってでも。

何としても、今夜中にベリクリーデのもとに帰っただろう。

だが、この時点で俺は、まだ知らなかったのだ。