神殺しのクロノスタシス〜外伝集〜

…ふぅ、と一つ深呼吸をする。

落ち着け。相手はベリクリーデだ。

3歳か、4歳くらいの女の子を相手にしていると思え。

「…あのなベリクリーデ。遊んでやりたいのは山々なんだが」

「うん」

「俺、これから任務なんだ。出掛けなきゃならないんだよ」

「えっ」

「だから、帰ってくるまで良い子に待っててな?」

「…」

よし、ようやく言いたいことが言えた。

しかし、ベリクリーデの反応はと言うと。

「…しゅーん…」

まるで捨てられた子犬のように、しょんぼりとしていた。

…やめろって。その顔。

だが、俺も学習した。

こんな時どうすれば良いのか、学んでいる。

「…ほら、ベリクリーデ。俺がいない間、これで遊んでな」

「…??」

俺は、ベリクリーデにお手製の玩具を渡した。

玩具で気を紛らわせようという作戦である。

「ジュリス、これなーに?」

「でんでん太鼓だ」

「…?」

でんでん太鼓を知らないらしいベリクリーデ。

「でん、でん…?…それはでんでん虫と関係あるの?」

「いや、別に…。…あのな、ほら。この細長い場所を持って、左右に揺らしたら…」

でんでん、って音が鳴るだろ?

だからでんでん太鼓。

「ほぇ〜」

ベリクリーデ、興味津々。

そんなことだろうと思った。

だから、ベリクリーデの気を逸らす為に、わざわざ手作りしてきたんだよ。

…え?作り方知ってたのか、って?

長生きしてりゃ、どうでも良いことが得意になったりするんだよ。

「凄い。これでんでんしてるよ、ジュリス。でんでーんって」

「はいはい」

「これくれるの?もらっても良いの?」

「良いよ」

それはベリクリーデの為に作ったものだからな。

すると、ベリクリーデの両目が、キラキラと輝き。

「やったー。ジュリスありがとう!」

大喜び。

…でんでん太鼓でこれほど喜ぶのは、お前と赤ちゃんくらいのもんだよ。

「だから俺がいない間、それで遊んでてな?」

「うん、分かったー」

よし。

これで、ベリクリーデを置いていく罪悪感も紛れるし。

ベリクリーデはベリクリーデで、楽しく遊んで待っていられるし。

一石二鳥だな。

面倒だったけど、でんでん太鼓を作った甲斐があった。