神殺しのクロノスタシス〜外伝集〜

その後も、ぐっすりと寝ていたシルナだが…。
 
「…う〜ん…」

毛布にくるまっていたシルナが、もぞもぞ、と動き出した。

…イモムシみたいだな。

「はちゅねが…私にしちゅれいなことを…」

「呂律回ってないぞ、シルナ」

「…ふわぁ〜…。…よく寝たぁ…」

そうか。良かったな。

「どうだ?気分は。元気になったか?」

「うん…。…だいぶ…マシになったかな」

「そうか…」

がらがら声も、いつの間にか治ってるしな。

令月の薬湯と、すぐりのネギが効いたか。

苦労して飲んだ甲斐があったな。

「でも、今日は全然チョコレートを食べてないから…。…いまいち調子が出ないなぁ…」

「それはしょうがないだろ…。今日くらいは我慢しとけ」

休肝日ならぬ、休チョコ日だよ。

そういう日があっても良いだろ。

「はぁ…。身体がだる、」

と、言いかけたその時。

…そこに、思わぬ「客」がやって来た。

こんこん、と扉が優しくノックされた。

…ん?

俺とシルナは、同時にドアの方を向いた。

すると、ドアがちょっとだけ開き。

…生徒達が、ひょっこりと顔を覗かせているではないか。

あれは、今日社会見学に出掛けていた五年生の生徒だ。

「…!」

それを見るなり、シルナはハッとした。

「あ、学院長先生、起きてる…!」

「良かった。思ったより元気そう」

「学院長先生〜。おーい」

数人の生徒達が、ドアから顔を覗かせ。

笑顔で、ひらひらと手を振っているでらないか。

万が一にでも感染ってはいけないので、それ以上入るのはNGな。

しかし、遠目にでも生徒の顔を見られたことによって。

「…!!」

シルナ、覚醒。

ベッドの上に飛び起きて、ぶんぶんと手を振り返している。

「君達…!来てくれたんだね!社会見学、どうだった?チョコ美味しかった…!?」

「凄く美味しかったですよ!」

「特にチョコスフレが最高でした!」

「私は、チョコクッキーサンドが美味しかったです」

それぞれ、美味しかったチョコ菓子を教えてくれた。

そうか。美味しかったか。

それは良かったな。

「学院長先生、早く良くなってくださいね」

「今度は一緒に食べましょうね!」

「みんな、学院長先生が戻ってくるの、楽しみにしてますからね〜!」

という、心温まる、非常に嬉しい言葉をもらって。

「うん…。…うん!治す!絶対治すからね!一緒に食べようね!」

感極まったシルナは、涙目でそう答えた。

それを見て、生徒達は笑顔で手を振っていた。