神殺しのクロノスタシス〜外伝集〜

俺はベリクリーデの傍に近寄り。

まずは、額に手を当ててみた。

されるがままのベリクリーデだが、額は熱くなかった。

…平熱のようだな。

水分補給はちゃんとさせているし、部屋はエアコンもついている。

熱中症を引き摺っている訳ではなさそうだ。

それなら…。

「…何か悩み事か?」

「ふぇ?」

「今、何か悩んでることは?」

うーん、と少し考えたベリクリーデは。

「そうだなー…。ジュリスに、『お馬鹿』って言われた」

「はいはい悪かったな」

それはお前がお馬鹿なのが悪い。

…ともかく、精神的な原因で、具合を悪くしているのではないらしい。

それじゃ…。

「お腹痛いか?頭は痛い?」

「んーん」

ふるふる、と首を横に振るベリクリーデ。

腹痛や頭痛がある訳でもないらしい。

それは良いことなんだけど…。

「じゃ、眠いか?胸が苦しいとかは?」

「平気」

「身体がダルい、とかは?」

「…。…だるい…」

…やっぱり、そうか。

何だかぐったりしてるもんな。

何処も痛くないし、咳や吐き気もないみたいだし。熱もないし。

だけど、身体がダルい、と…。

「食欲は?何か食べたいものは?」

「…要らない」

とのこと。

「…そうだ。アイスクリームは?どうだ?」

「…」

好物のアイスクリームなら、欲しがるんじゃないかと思ったが。

「…要らない」

やっぱりベリクリーデは、ふるふる、と首を横に振った。

…駄目か。

実はベリクリーデ、熱中症になってからというもの。

水分補給はしているけれど、固形物は何も食べていないのである。

ベリクリーデの保有魔力からいって、食べなくても餓死するということはないだろうが。

でも、食べた方が良いに決まってるからな。

食べ物からエネルギーを得る方が、魔力を消費せずに済む。

「何か食べた方が良いぞ。さすがに…」

「…ん〜…」

「駄目なのか?食欲、ないのか」

「…ん」

…成程。

俺の見立てが正しければ…ベリクリーデのこれは、多分。

…夏バテ、って奴だな。