神殺しのクロノスタシス〜外伝集〜

「うはぁ、あっつ…」

部屋を出ると、暑い暑い。

さっきまでエアコンの効いた部屋にいたから、余計にそう感じる。

熱気がそこら中に立ち込めて、まるでサウナの中にいるかのようだ。

「だぁっちぃわ〜…。もぉ〜…」

「…うんざりする暑さですね…」

…お。

そこで、大隊長仲間のキュレムとルイーシュに遭遇。

二人共、何やら細長いものを口に咥えていた。

「…何やってんの?」

「チューペット食ってる」

「…あ、そう…」

チューペットって知ってるだろうか。あの棒状の、凍らせたシャーベットみたいなの。

「あんまり暑いから、外で買ってきたんだわ。ほれ、ジュリスにもあげよう」

「あ、あぁ…。…ありがとう」

ひんやりとしたチューペットの冷たさが、手のひらに心地良い。

「はぁ〜…。あっついわーマジで」

「今夜は冷やし中華とか食べたいですね」

「だな…」

などと言いながら、チューペットを吸いつつ去っていく二人。

…どうも。

このチューペットは、ベリクリーデに食べさせてあげるとするかな。

俺は、ベリクリーデの部屋に向かった。

こんこん、と部屋の扉をノックする。

「おい、ベリクリーデ。いるかー?」

…。 

…しーん。

全然返事がないんだが、勝手に開けても良いだろうか。

女の部屋に勝手に入るっていうのは、なかなか気が引けるんだが…。

「ベリクリーデ。開けるぞ?」

ちゃんと断ってから、俺は部屋をそっと開けてみた。

鍵はかかっていなかった。

「おい、ベリク…」

「…ぷしゅ〜…」

「ベリクリーデ!?」

ベリクリーデは、部屋の真ん中で座っていた。

何故か、毛布を被って。

真っ赤な顔をして、汗をダラダラ垂らして、ふらふらと身体を前後に揺らしていた。

「お、お前、何やっ…。何やってんだ!?」

慌てて部屋の中に飛び込んで、その部屋の暑さに愕然とした。

さっきまで、エアコンをつけてなかった俺の部屋よりも、遥かに暑い。

それもそのはず。ベリクリーデの部屋は、日差しが直接当たる位置にあった。

しかも、窓も閉め切って、当然エアコンもついていない。

その上ベリクリーデは、その温室みたいな部屋の中で、毛布まで被っていた。

地獄みたいな暑さ。

何やってんの?こいつ。

自らに試練でも課してるのか?

馬鹿みたいなことやめろ。