神殺しのクロノスタシス〜外伝集〜

で、いよいよ健康診断当日を迎えた訳だが。

…冒頭に戻る。





身長・体重測定、視力検査、聴力検査には、素直に応じたシルナだが。

いよいよ、採血の時が来ると。

「やだ〜!やだ〜!怖いよー!」

ちっちゃい子供みたいに、半泣きで柱にしがみつくシルナである。

看護師さん、苦笑。

あぁ…恥ずかしい…。

「済みません…。ほんと、もう…済みません…」

シルナのあまりの醜態に、俺は看護師さんに、深々と頭を下げた。

「い、いえ…。怖いですよねー、採血…。…あはは…」

乾いた笑い。

「えーと…それじゃ、ちょっと…落ち着くまで、他の方を先に採血させてもらっても良いですか?」

「あ、はい…」

子供のように泣き喚くシルナは、ひとまず後回しにして。

まずは、俺から。

服の袖を捲って、看護師さんの前に腕を差し出す。

「手をグーにしてくださいね。…はい、ちょっとチクッとしますよー」

と言って。

看護師さんは慣れた手つきで、俺の肘の少し下辺りに、スッと針を入れた。

チクッとしたけど、飛び上がるような痛みではない。

看護師さんはそのまま、相変わらず慣れた手つきで、血をシリンジに吸い取っていった。

素早い動きでシリンジ3本分の採血を終えると。

「はい、終わりましたよー」

「ありがとうございます」

患部に止血用の小さなシールを貼って、あっという間に採血終了。

ほら、こんなに簡単。

「シルナ…。ほら、あっという間に終わるぞ。痛くないぞ」

腕を押さえながら、俺はシルナにそう言ったのだが。

「…ぶるぶる…」

…駄目だ。完全にビビってやがる。

「まったく、情けない男です」
 
「あ、イレース…」

同じく健康診断に参加していたイレースが、俺の次に、看護師さんにの前にドカッ、と座った。

「さぁ、さっさと血を抜きなさい」

「あっ、はいっ…」 

「一回で終わらせてくださいね。私、この後は生徒の監督に行かないといけないので。時間がないんです」

「は、はいっ…!」

…イレース。看護師さんにプレッシャーをかけるんじゃない。

「お、終りました」

「よろしい」

採血の最中も、イレースは眉一つ動かさず。

自分の前腕に針が刺さるのを、じっと見つめていた。

すげー…勇気ある…。

さっさと採血終了。さすがイレース。

さて、その次は。

「採血かぁ…。実は、僕もあんまり得意じゃなくて…」

「そうですか?僕、血なんて何十リットル採られても平気ですけど」

「…それはナジュ君だけだよ…」

教員仲間の、天音とナジュがやって来た。