神殺しのクロノスタシス〜外伝集〜

…なんてことだ。

ベリクリーデちゃんが、ジュリスを避けていると思ったら。

本当は、ジュリスの為に、ジュリスへのプレゼント…花冠…を作っていたのだ。

クロティルダも、ベリクリーデちゃんもそのことを黙っていたのは。

ジュリスを喜ばせようと、サプライズを計画していたから…。

…。

…それなら、そうと言えよ!

その場で、こっそり聞き耳を立てていた隊士達、全員が同じことを思ったに違いない。

いや、駄目なんだ。サプライズなんだから、言っちゃ駄目なんだ。

だけど…さぁ…。

そうと分かっていれば…ジュリスもここまで不機嫌になることはなく、そのせいで俺がとばっちりを受けることもなかっただろうに…。

…まぁ、良い。

良いよ。許してやるよ。

だって、ジュリスの顔が。

ここ一ヶ月くらいのうちで、一番輝いてるから。

「お前…、そんっ…そん、な、こと、考えてたなら…」

ジュリスは目を白黒させながら、自分の頭に乗っけられていた花冠を見上げた。

「俺の…ここしばらく…の葛藤は…何だったんだ…」

「ほぇ?」

ジュリスの葛藤も、周囲への被害も、まったく自覚していなかったベリクリーデちゃん。

こてん、と首を傾げていた。

…この子は…もう…。

…良いよ、別に。

だって、ジュリスの顔が輝いて(ry。

「ジュリス、喜んだ?喜んだ?」

わくわく。

その顔は、子供のように無邪気だった。

「お前…この…。…はぁ…もう…」

ベリクリーデちゃんが、いつものベリクリーデちゃんのままだったと知って。

ジュリスは、深々と溜め息をついたが。

その口元は、だらしなく緩んでいた。

…嬉しそ、ジュリス。良かったな。

それと、汚してしまった俺の制服のクリーニング代を払え。畜生。










END