神殺しのクロノスタシス〜外伝集〜

お邪魔しました!!と、今すぐ逃げ出したかった。

これなら、立ち食いカレーうどんした方がマシだよ。

しかし、俺は愚かにも、もう座ってしまったのだ。

座ってしまった以上、やっぱ今のナシ!と逃げることは出来なかった。

確認せずに座ってしまった、自分の愚かさよ。

無意識なのだろうが、ジロッ、とこちらを睨むジュリス。

なんか文句でもあるのか?とでも言いたそうな顔である。

いや、文句はないんだよ。文句は…。

ただ、ちょっと…いや、かなり…気まずいというだけで。

なんか、こう…話題。話題を提供しよう。

黙ってたら吐きそう。

「え、え、えぇっと…ジュリス…」

「…何だ」

「えぇと…き…今日は、い、良い天気だな!」

「…。…そうだな」

…それだけ?

天気の話なんか興味ねぇよ、とばかりにカレーうどんを啜るジュリス。

…。

我ながら、自分の浅はかさを呪った。

話題に困ったからって、天気の話はねーわ。

仕方ないだろ。俺は元々陰キャなんだよ。話をするのが苦手なんだよ。

「…」

チラッ、と横のルイーシュを見ると。

何事もなかったように、平気で、カレーライスをぱくぱく食べていた。

お前の肝の太さ、もとい。

お前の図太さが羨ましいよ。俺は。

ただでさえ食べるのに緊張するカレーうどんなのに、同じテーブルにジュリスがいるなんて…。

…こんな気まずい昼飯があるか?

おかしいな。このカレーうどん、全然味を感じないや…。

それでも、俺はジュリスとの対話を諦めなかった。

「じゅ、ジュリス」

「…何?」

「えーっと…その…こ、このカレーうどん、美味いな」

「…。…そうだな」

…それだけ?

もうちょっと…こう…会話を広げる努力をして欲しい。

「え、えーっと…。…そ、そうだ。ジュリス、今日は日替わり定食、頼まなかったんだな」

「あぁ」

「なんで?やっぱりサバだから?俺もさ、ルイーシュが唐揚げだったら良いなーとか言ってたから、唐揚げの口になっちゃってて。今日は焼きサバだって知って、ちょっと残念な気持ちに、」

「俺は別に、サバでも何でも良いけど」

えっ…。

「で、でも…じゃあ、何でカレーうどん…?」

「どれでも良いから適当に券売機のボタンを押したら、たまたまこれだっただけだ」

「へ、へぇ〜…」

…なぁ。

ここまでつっけんどんにあしらわれて、俺は一体どうすりゃ良いんだ?

「えーと…。えーと…。…その…」

「…何だよ」

「え?いや、あの…」

「何だよ。言いたいことがあるなら、はっきり言えよ」

それをはっきり言えるほど、俺は肝が据わってないんだよ。分かってくれよ。