神殺しのクロノスタシス〜外伝集〜

仕方ないので、カレーうどんの食券を食堂のおばちゃんに渡し。

しばらくすると、

「はい、カレーライス、カレーうどんお待ちどうさまー」

「あ、どもっす」

ルイーシュのカレーライス、俺のカレーうどんが、それぞれトレーに乗せられて出てきた。

食欲をそそる、芳醇なカレー粉の匂い。

これはこれで美味そう。

…しかし、ここで問題が発生。

「うわ、座る場所あるかな…」

「人が多いですね」

時刻は、丁度昼休みになったばかり。

ランチの黄金タイムにやって来てしまったものだから、食堂の席がいっぱいになっている。

先に席取りをするべきだった。失敗。

1人席なら、ちらほら空いてるんだけど。

今はルイーシュと一緒だから、出来れば二人並んで座れる席を求む。

空席を探して、トレーを持ったまましばらくうろうろしていると。

「あ、キュレム隊長。ルイーシュ隊長」

「良かったらお席、代わりましょうか?」

席を探している俺達に気づいて、部下の隊士が声をかけてきた。

有り難い申し出だけど…。

「いや、良いよ。自分等で探すから」

と、俺は断った。

だって、こいつらもまだ食事の途中なんだもん。

大隊長だからって、部下の食事を中断させてまで、席を奪い取る訳にはいかない。

こればかりは、早い者勝ちだからなぁ。

席を譲ろうとする部下を座らせ、俺とルイーシュは、しばらく食堂を彷徨ったが…。

…なかなか見つからないなぁ。

どうしよう。うどんが冷めてきてしまう。

「もういっそ、この場で立ち食いします?」

「おい待て、ルイーシュ。諦めるな」

立ち食いそばじゃねぇんだから。

…すると。

「お、見ろ。あそこ空いてるじゃん」

他のテーブルには、ぎっちりと人が座っていたのに。

食堂の、一番端っこのテーブル。

そこには、僅かに人がぽつん、と座っているだけで。

他に座っている人がいなかった。

「よし、ここに座っ…」

「あ、これはヤバいですね」

「えっ?」

席取った、とばかりに座ると。

そこには、負のオーラを漂わせる男がいた。

「…っ、ジュリス…!?」

「…何だよ?」

めちゃくちゃ、とんでもなく、低い声で。

俺と同じく、カレーうどんを啜るジュリスが、そこにいた。

ルイーシュが「ヤバい」と言った理由がこれである。

そして、これほど混雑した食堂の中で、不自然にこのテーブルだけ空いていたのも。

…誰も座りたくなかったんだ。ジュリスの周囲に。

俺は…もしかして、とんでもない席に座ってしまったのでは?