神殺しのクロノスタシス〜外伝集〜

…やべぇ。

ジュリスの顔が…これでもかってくらい歪んでいく。

「…何だよ。俺に言えないようなことか?」

「うん。内緒なの」

「…ふーん…」

…内緒って、自分で言っちゃった。

ジュリスに言えないようなことを…クロティルダと…。

…これ以上は駄目だ。

「…まぁ別に好きにすれば良いさ。俺が口出しすることじゃないからな。勝手にすれば良い」

「うん、そうするね」

ジュリス渾身の嫌味も、ド天然なベリクリーデちゃんには通じない。

「クロティルダ。早く、続きしよ」

ベリクリーデちゃんは、ちょいちょい、とクロティルダの服を引っ張った。

続きって何?何なの?

人に言えないようなことの続き?

「そうだな。…続きをするとしようか」

「…」

ジュリスは、すんごい顔でクロティルダを睨み。

そして、ケッ、とそっぽを向いた。

郵送する予定だと言っていた、論文の入った書類の封筒を、ぐしゃっ、と握り締めていた。

ちょ、お前。論文が。大事な論文が。

そして、郵便局に行くのもやめて、そのままこちらに迫ってきた。

え、な、何?

突然ジュリスに睨まれて、俺は背筋が凍りそうになったが。

「…キュレム」

ひく〜い声で、名前を呼ばれた。

何?殴られる?俺、八つ当たりで殴られるの?

「な…何…?」

「これ、捨てといてくれ」

と言って、俺に封筒を押し付けてきた。

えぇぇ…。

「いや、ジュリス。でも、これ、お前の書いた論文、」

「捨てといてくれ」

「…。…はい…」

ジュリスは、さっさと隊舎の中に入っていった。

…論文、これ、どうしよ。

本当に捨てるのは勿体無いから、出来るだけ皺を伸ばして、俺が代わりに、ジュリスの名前で郵送しておこう…。

…すると。

「…終わりました?修羅場」

「…ルイーシュ…」

逃げていたルイーシュが、ひょいっ、と戻ってきた。

お前…この、薄情者…。

…とりあえず。

「…ハンバーガー、お前に奢ってもらうからな」

それでチャラってことで。