神殺しのクロノスタシス〜外伝集〜

「…何?なんか用?」

「あ、え、えぇと…」

呼び止めたものの、ジュリスがあまりにも不機嫌ヅラしてるものだから。

気の毒に、とばっちりを受けたシュニィは、言葉に詰まってしまっていた。

「…や…やっぱり、何でもありません…」

ついに、シュニィは半泣きでそう引き下がった。

いつものジュリスだったら、「何でも言ってみろよ」くらいの度量があるのに。

「…あっそ」

ジュリスは、興味なさそうにそう答え。

もう話は終わりとばかりに、さっさと会議室から出ていった。

…当たり強いなぁ…。

シュニィには何の罪もないのに…。

ジュリスに冷たくされて、シュニィもしょんぼりだよ。

「シュニィ…元気出せ。ジュリスも、何も悪気があってあんな態度取ってるんじゃない」

「…えぇ、分かってます…」

…まぁ、でも。

普段は優しいジュリスだからこそ、あれほど露骨な態度だと、余計に傷つくよな。

触らぬ神に祟りなし、状態になってるもん。

「ジュリスさんに、明日、任務を頼もうと思っていたんですが…」

「…」

とてもじゃないが、頼み事が出来る雰囲気じゃなかったな。

「あの…申し訳ないんですけど…。…無闇さん」

シュニィは、代わりに無闇に声をかけた。

「お願い出来ませんか?明日はどうしても…私も他に任務が入っていて…」

「それは、別に構わないが…」

…が?

無闇は、不思議そうに首を傾げていた。

「ジュリスは、何であんなに不機嫌なんだ?」

「…」

…無闇君。あんた、分かってなかったのかよ。

「それは…ですから…その、クロティルダさんが…」

「クロティルダ…。ベリクリーデのもとに現れた天使か。…しかし、その天使がジュリスとどう関係があるんだ?」

「…」

…無闇、お前。

…にぶっ…!

すると、俺達の心の中のツッコミを、言葉にしてくれる存在が現れた。

「無闇君、君、いくらなんでも鈍いでしょ」

無闇の背後に、ふわりと現れたのは。

無闇の持つ魔導書、『死火』に宿る女の子、月読(つくよみ)ちゃん。

この子はちゃんと分かってんな。

「何が?ベリクリーデのもとに誰が現れようが、ジュリスには関係のない話だろう」

「関係なくなんかないよ。これまで一緒にいたのに」

「…?」

それでも、分かっていないらしい無闇。

「だからぁ…。…あぁもう、駄目だわ無闇君は。こういうとこ、ほんっと成長しないんだから」

呆れる月読ちゃん。

…ま、気づいてないなら、それはそれで平和ってことで。