神殺しのクロノスタシス〜外伝集〜

ーーーー…バナナジュース事件から、更に一週間後。

その日、聖魔騎士団魔導部隊、大隊長会議が行われたのだが…。






「…それでは、本日の会議は以上になります。皆さん、お疲れ様でした」

書類をとんとん、とまとめて、会議の司会を務めていたシュニィが、笑顔でそう言った。

ふー、やれやれ…。今日も無事に会議が終わった。

…というのに、

「…zzz…」

…俺の隣で、寝ている男が一人。

「ルイーシュ、おいルイーシュ」

肩を強く揺さぶると、ぱちんと目を開けた。

「…ん…?何ですか。今気持ちよく寝てたのに…」

「会議終わったぞ」

「あ、終わったんですか。じゃあ起きるとしますか…。…ふわぁ〜…」

…と、大あくび。

見てますか。ルーデュニア聖王国国民の皆さん。

これが、聖魔騎士団魔導部隊大隊長の姿ですよ。

税金泥棒と言われても、あながち否定出来ないのが悲しい。

そんな体たらくでも、苦笑いで許してくれるシュニィの懐の広さよ。

シュニィが許しても、世間の皆様は許さないと思うぞ。

まぁ、でも、上には上が、下には下がいる。

ベリクリーデちゃんなんて、この場に来てすらいないからな。

多分、今日が会議だってことを忘れていると思われる。

それでも許してくれる、シュニィの懐の広さ(ry。

すると。

会議が終わるなり、さっさと立ち上がって去ろうとするジュリスに、シュニィが声をかけた。

「あ、ジュリスさん。ちょっと」

「…何?」

「うっ…」

呼び止められて、振り向いたジュリスの顔。

端から見ていた俺でさえ、思わず「うっ」と言ってしまいそうになった。

ジュリスの顔は、非常に不機嫌だった。

徹夜明けの俺みたいな顔してる。

おまけに、声の低さが氷点下。

…何も、ジュリスはシュニィを嫌っている訳じゃない。

それどころか、多分ジュリス本人も無意識なのだろう。

…最近のジュリスは、誰に対してもあんな感じだ。

めちゃくちゃ不機嫌で、めちゃくちゃ態度悪いの。

いつも親切で、明るくて、フットワークが軽くて、何だかんだ言いつつも面倒見が良くて。

部下からも慕われているし、イケメンだから、女性魔導師からも憧れの的。

天は二物を与えないなんて嘘だよな、と思わせてくるレベルのイケメン。

それなのに、今はそのイケメンが台無し。

まるで今のジュリスは、人が変わったかのようだ。

だけど、それはジュリスの責任じゃないってことを、みんな知っている。

理由は明白…最近現れた、あの天使のせいである。