神殺しのクロノスタシス〜外伝集〜

ーーーーー…俺とルイーシュが、ベリクリーデちゃんと、連れ合いの天使を見つけたのは、隊舎の玄関付近。

そこで、ベリクリーデちゃんが、何やら小さなスコップと、小さなバケツを持っているのを見つけた。

「…ルイーシュ。ベリクリーデちゃんがいるぞ」

「そうですね」

「…スコップとバケツ持ってるけど、何だと思う?あれ」

「スコップとバケツなのでは?」

いや、それはそうなんだけども。

俺が聞きたいのは、それを使ってどうするのか、っていう点である。

…それに…気になることはもう一つ。

「今日は、ジュリスがいねぇな」

「えぇ、いませんね」

大抵いつも、ベリクリーデちゃんの傍には、ジュリスがくっついてるんだがな。

…いや、最近は…少し違うな。

「例の天使もいませんね、今日は」

ルイーシュも、同じことを考えていたようだな。

「あぁ…」

最近、ベリクリーデちゃんの傍に、天使がいる。

ベリクリーデちゃんの元カレ。

その元カレのせいで、最近のジュリスは、近寄り難いくらいに機嫌が悪い。

そりゃ、今カレと元カレが、一つ同じ屋根の下なんだから。

修羅場るのも当然ってもんだ。

肝心なのは、俺とルイーシュみたいな非モテ男子は、そんなリア充共の応酬に巻き込まれないよう、しっかりと距離を置いておくこと。

…なのだが。

「…よーし。裏庭、掘りにいこーっと」

ベリクリーデちゃんが、一人でそう意気込んでいる声が聞こえてきた。

…掘る?裏庭を?

「…ルイーシュ、今の聞いたか?」

「えぇ。聞きたくないけど聞こえちゃいましたね」

…だよな。

「掘るって言ってたけど…」

「はい」

「…まさか、また隊舎の裏庭に風穴を開けるつもりなのかな」

「その可能性はありますね」

マジかよ。ヤバくね?

何がヤバいって、ベリクリーデちゃんの犯行予告を聞いてしまったことだ。

聞いてしまったら、「なんで止めなかったんだ」って、後で怒られる口実になるじゃん。

うわぁ…最悪のバットタイミング。

「ルイーシュ…ここは一つ提案なんだが」

「奇遇ですね。俺もキュレムさんに相談したいことがあったんです」

そうか。

多分、お互いに同じことを考えてるだろうな。

「ここは何も聞かなかったことにして、一緒に逃げ、」

よう、と言おうとしたのに。

更に悪いことに、俺達は聞いてしまった。

「あ、そうだ。クロティルダにも手伝ってもらおう」

という、ベリクリーデちゃんの独り言を。

「おーい、クロティルダ。クロッティ〜!いる?」

「…俺を呼んだか、我が姫」

スッ、と。舞い降りるように。

背の高いイケメン天使が、ベリクリーデちゃんの目の前に降臨した。

…うわぁ…。