神殺しのクロノスタシス〜外伝集〜

な…何でだよ?

なんか俺、悪いことしたのか?ベリクリーデの気に障るようなことを?

やっぱり自分で開けたかったとか?

「ベリクリーデ、どうし、」

「…はるみちゃんだった…」

「え?」

誰?何ちゃんだって?

「ほら、はるみちゃん」

「…うわっ…」

覚えているだろうか。例の、巨大ヘビに頭から食われている全裸の女性。

あれのチビフィギュア。

これは気持ち悪い。トラウマになるぞ。

さすがのベリクリーデも、これは気持ち悪かったらしい。

だから、こんな謎の都市伝説のガチャポンなんかするから。

仕方ない。こうなったら。

「ほらよ、お前が受け取れ」

クロティルダに押し付けることにした。

さすがのクロティルダも、これには眉をひそめるかと思いきや。

「ほう…。ヘビに食われる人の子か。これは興味深い」

このデザインにドン引きしないお前にドン引きだよ。俺は。

きしょっ…。天使の趣味キモッ…。

しかし、ここで俺は自分がとんでもない誤解をしていることを知る。

「これは気に入らないのか、姫」

「ううん。気に入らない訳じゃないの」

え?

ベリクリーデがさっきしょんぼりしてたのは、はるみちゃんチビフィギュアがあまりにもキモいからじゃないのか?

俺はてっきり、そう…。

「私、くねくねちゃんが欲しいの」

…とのこと。

…そういや、ウエハースの時もそんなこと言ってたな。

ベリクリーデは、何もはるみちゃんが気色悪かったからではなく、

ただ単に、欲しかったくねくねちゃんが出なかったから、落ち込んでいただけだった。

…何だよ。心配して損した。

「またくねくねちゃんかよ…」

「お気に入りなの」

くねくねちゃんが?

あんなグロテスクなバケモノが、お気に入りとは…。

どうなってんだよ。ベリクリーデの趣味は…。

…って、それは今更か。

「ねぇ、ジュリス」

ベリクリーデが、ちょいちょい、と俺の服の裾を引っ張ってきた。

「あ?」

「私の代わりに、くねくねちゃん取って」

…何だと?

そんなあざとくおねだりされても…。

俺に、このガチャポンを回せと?

そんなことしたって、俺だってそんなにくじ運良い方じゃないのに。

「いや、でも、あのな…」

「…?」

「…いや、分かった。やってみるよ」

「やったー。ジュリスありがとう」

…え?なんで突然心変わりしたのかって?

だって、俺が断ったら、ベリクリーデはきっと、代わりにクロティルダに頼るだろ。

それはムカつくから。

だったら、俺が回してやるよ。

…望みのものが出てくるとは限らないけどな。