神殺しのクロノスタシス〜外伝集〜

アイスを食べ終えた後。

「…ふぅ…。ただ遊んでただけなのに、なんか妙に疲れた…」

「大丈夫?ジュリス」

「…あぁ…」

ほぼ、お前のせいだけどな。

お前と、クロティルダのせいだ。

…涼しい顔しやがって。腹立つ…。

さっさと帰って、さっさと身体を休めたかったが…。

…残念ながら、そうは行かない。

「あ、見て見て」

「ちょ、こらベリクリーデ!勝手にうろちょろするんじゃない」

興味のあるものを見つけたら、右へ左へ、落ち着きのない幼児のように動き回るのがベリクリーデである。

…何を見つけたのかと思ったら。

「見て〜。これ」

「…?」

ゲームセンターの出入り口付近に、ガチャポンが数台、並べて置いてあった。

ベリクリーデは、そこにちょこちょこと走っていった。

ガチャポンコーナーってさ、スーパーとか、ショッピングセンターとかで見つけると、つい眺めたくなるよな。

何か目的のものがある訳じゃなくても、つい見たくなる。そんな誘惑がある。

その誘惑に全く抗えないのが、ベリクリーデである。

「何だよ…。…なんか良いのあったか?」

「これ!」

と言って、ベリクリーデが指差したのは。

『集めて!都市伝説ガチャシリーズ』。…だってさ。

そのラインナップに、俺は非常に見覚えがあった。

「こ、これは…!」

「知っているのか?」

と、クロティルダが聞いてきた。

「あぁ…。ベリクリーデが以前、箱買いしてた食玩のシリーズだ」

忘れたとは言わせないぞ。あの大量のウエハース。

ほぼ、シルナ・エインリーのおやつと消えた、あのウエハース。

あの時ベリクリーデが集めていた、グロテスクな都市伝説のバケモノ達。

そのバケモノ達のチビフィギュアが、ガチャポンになって新登場。

こんなもの、需要あるのか…。

「わーい。欲しい〜」

…ベリクリーデに需要があった。

更に。

「ふむ…。独創的なデザインだ」

クロティルダにも需要があった。

…いたのか。欲しがる奴。

「よーし。ガチャガチャしよーっと」

ベリクリーデはうっきうきで、都市伝説ガチャを回し始めた。

ちょ、ゲーセンの入口ではしゃぐんじゃないぞ。

ガチャガチャ。ころん。

「出てきた」

「はいはい…」

ガチャポンの取り出し口から、丸いカプセルを取り出し。

「ジュリス、開けてー」

何故か、俺に開封を頼んできた。

カプセルくらい自分で開けなさい、と言いたいところだったが。

断ったら、今度はクロティルダに頼みそうだったから。

こいつに任せるくらいなら、俺がやる。

パキャッ、とカプセルをオープン。

「ほら、開いたぞ」

「わーい。…わーい…?」

「…?」

カプセルの中身を見た途端。

ベリクリーデは、しょんぼりと落ち込んでしまった。