神殺しのクロノスタシス〜外伝集〜

結局、「やっぱり普通のバニラアイスで!」とは言えず。

「お待たせしました〜」

「わーい」

…来ちゃった。

俺に手渡されたのは、ふわっふわのハート型のマシュマロと、カラフルなハートのチョコチップがふんだんに振りかけらチョコたアイスと。

これまた、ハートと星のカラーシュガーを散りばめ、しゅわしゅわするカラフルな小粒のラムネをたっぷりと混ぜた、虹色のサイダーアイスの、豪華2つ盛り。

それはもう、キラッキラのメルヘンアイス。

「可愛いね〜」

「カラフルだな」

そのメルヘンなアイスを前に、ベリクリーデは目をキラキラさせていた。

それどころか、クロティルダまで興味津々。

…こいつら…恥ずかしげもなく…。

「見てー。シールも可愛いよ」

と言って、ベリクリーデはさっき、アイスと一緒にもらったシールを見せてきた。

これまた、非常にキラキラした可愛いシールだよ。

女児とベリクリーデが喜びそうなデザイン。

「よし。このシール、ジュリスのお部屋の机に貼ろーっと」

おい、何でだよ。やめろ。

貼るなら自分の部屋に貼れ。

「良かったら、俺のものもあげよう」

「わーい。ありがとうクロティルダ。これもジュリスの部屋に貼るね」

シールを二枚もらって、ご満悦のベリクリーデ。

…もう、お好きにどうぞって感じで。

はー…。

俺は、心の中で大きな、大きな溜め息をついた。

何で俺が…こんな可愛いアイスを…。

どうせなら普通のアイスが良かった…。

…しかし。

「美味し〜」

満面の笑みで、スプーンでアイスをすくって食べるベリクリーデを見ていると。

何だか、急にほだされてしまいそうになって、危なかった。

畜生…。卑怯だろ、お前…。

「?どうした、食べないのか」

クロティルダが、憎々しげにアイスを睨む俺に気づいた。

「口に合わなかったか?俺ので良ければ交換、」

「冗談じゃねぇ。自分のを食うよ」

「そうか」

誰がお前の施しなんか受けるか。

こうなったら、意地でも食べてやる。

俺は、自分のプライドを賭けて、メルヘンアイスを食べ始めた。

そのアイスは予想以上に美味しくて、それがまた腹立たしかった。