神殺しのクロノスタシス〜外伝集〜

ベリクリーデに引き摺られるようにして、店内に入ると。

「いらっしゃいませー」

と、元気な挨拶で、女性店員が迎えてくれた。

うわぁ…そのメルヘンな制服。相変わらず変わっていないようだな…。

店内も相変わらずピンクピンクしており、更に今日は、あちこちにハートのバルーンが飾ってあった。

このアイスクリームショップは、持ち帰りは勿論、店内で食べることも出来るらしいのだが。

店内にいるのは、若い中〜高校生くらいの女の子ばかり。

この桃色メルヘン空間に、男なんて一人もいない。

うわぁ…。居づらい…。

思わず、同じ男仲間のクロティルダをチラ見したが。

クロティルダは、場違い感など少しも感じていないようで。

「ふむ…。成程…」

きょろきょろと、興味深そうに店内の装飾を眺めていた。

ふむ成程、じゃねーよ。変態め。

すると、カウンターにいる店員さんが、笑顔でアイスクリームのメニュー表を渡してくれた。

「こちら、今月の商品になります。ただいま当店では、『期間限定ラブラブ♡ふぇあ』を開催中です」

何それ?その恥ずかしいフェア。

あ、店内に無数に飾ってあるハートのバルーンは、そのフェアの為か?

「限定フレーバーをご購入のお客様に、限定デザインのシールをプレゼントしております。良かったらご注文くださいね」

だ、そうだ。

何が豪華景品だよ…。どうせろくなものじゃないだろ。要らねぇ…。

…しかし、ベリクリーデとクロティルダは。

「シールだって!欲しい」

「成程、この限定フレーバーという商品を頼むとシールがもらえるのか…。よし、やってみるとしよう」

ベリクリーデはともかく、なんでクロティルダまでノリノリなんだよ?

人間の文化に興味津々か?なぁ。

「ご注文お決まりですか?」

「うん。じゃあ、私はこの今月限定の…『トゥインクル☆ラブラブストロベリー』の、キングサイズにする」

…相変わらず、最高にメルヘンだな。

しかもキングサイズって。デカくね?

「クロティルダはどうするの?」

「そうだな…。それじゃ、同じく今月限定、『ラブ♡ろまんてぃっくぴーち』味にしよう」

「畏まりましたー」

クロティルダ、お前…。恥ずかしげもなく…。

…むしろ、このくらい堂々としていた方が潔いのかもしれない。

すると。

店員さんが、こちらを向いた。

「そちらのお客様は?」

「えっ」

お、俺?

いや、俺は別に…。

「お客様も、期間限定フレーバーにいたしますか?」

「いや、俺は、期間限定とかじゃなくて、普通の、バニラとか抹茶味、」

「ジュリスはねー、この期間限定『ラブいっぱい!ハートのマシュマロ&チョコ』のおっきいのにしてあげて」

ちょ、ベリクリーデ。お前、勝手に。

しかも。

「ついでに、期間限定『虹色のラブ♡レインボーサイダー』もおまけしてやってくれ」

クロティルダ貴様。気を利かせた顔して、何を勝手なことを。

「畏まりました〜!」

店員さんも。勝手に畏まらないでくれ。

俺に…俺に、選択の余地をくれ…。