神殺しのクロノスタシス〜外伝集〜

と、思ったが。

選択肢、2つ目の作品は。

「えーと…クロティルダ、これなんて読むの?」

「どれ…。『劇場版Ero Mafia〜とあるマフィア幹部の半生〜』という作品だそうだ」

おい。何だそれは。めちゃくちゃ既視感があるぞ。

よく見たら、いや、よく見なくても。

その映画のタイトルの横に、小さく、R18の表記が。

こ、これはヤバい。絶対に駄目だ。

「とある…マフィンの半生?何だか面白そうだねー」

「あぁ。人の子の人生録には興味がある」

何にでも、興味津々なベリクリーデと天使。

「じゃ、この映画にしよっか」

「ちょ、ちょっと待て!」

「ふぇ?」

俺は、ベリクリーデの肩をガシッ、と掴んで止めた。

ラブロマンスじゃなければ何でも良い、とは思ったけども。

だからって、こんな…もっと気まずい雰囲気になりそうな映画は御免だ。

「やめよう、頼むから。この映画はやめよう」

「え、なんで?」

「大丈夫だ、ジュリス・レティーナ。これは続編モノではないようだ」

ちげーよ。そういう心配をしてるんじゃねぇ。

つーか、気安く名前、呼ばないでもらえないか。

「あの…ちが…この映画は、やめた方が良いんだ」

「?なんで?ぜんべーが震撼した、って書いてあるよ」

と、映画の宣伝ポスターを指差すベリクリーデ。

よく震撼するよ、ぜんべーは。

そうじゃなくて。俺が言いたいのは。

「違うんだよ…。この映画はヤバいんだ。その、色んな意味で…」

「…??」

「…も、もう一個の映画、ほら、俺はその…3つ目の作品が面白そうだと思ってたんだ」

「え、そうなの?」

全然そうじゃないけど、もうそういうことにしておこう。

「そっかー。3つ目の映画にしようか…。クロティルダ、3つ目ってどれ?」

「これだな」

と言って、天使クロティルダが指差した映画ポスターの、タイトルは。

『劇場版 美幼女魔女★まじかるうぃっち』。

…だってさ。

開いた口が塞がらない、とはこのことである。

ポスターには、小さな女の子と、それから大きなお友達が好きそうな、キラキラふりふりの衣装を身に纏い、とんがり帽子を被った幼女が。

魔法のホウキに乗って、ピースしているイラストが、でかでかと描かれていた。

…うわぁ…。

「ジュリス、これが観たかったんだね」

「成程。人の子の趣味はそれぞれだな」

おい待て、アホ天使。

俺が幼女趣味みたいに言うな。

嘘だろ?なぁ。折角映画館に映画を観に来たというのに。

世の中には、たくさんの映画が上映されてるだろ?そうだろ?

それなのに、何で俺に許された選択肢は。

地獄か、更なる地獄か、幼女の三択なんだ?

もっとこう、ミステリーとか…SFとか…格好良いアクション映画とか…。

俺が求めていたのは、そういう映画だったのに。

「さ、ジュリス行こー」

「上映が始まってしまうぞ」

「…」

…南無三。

これは、一体どういう罰ゲームなんだ?