神殺しのクロノスタシス〜外伝集〜

別に恋愛関係のあれこれで修羅場ってた訳じゃないから。それは誤解だから。

と、再三キュレムに言い聞かせてから。

身体の芯から疲れ果てた俺は、ようやく、聖魔騎士団魔導部隊の隊舎に戻ってきた。

…あぁ。疲れた…。

魔力を使い果たした時のような疲労感を感じる。

スーツケースの片付けやら、出張の報告やらは後回しにして。

とにかく今は、ベッドに横たわって、ひたすら眠りたい気分。

「はぁ…。疲れた…」

「お疲れさま、よしよし」

ベリクリーデが背伸びをして、俺の頭をよしよし、と撫でてきた。

…。

…あのさ。

「…お前、何でいるの?」

「ふぇ?」

当たり前のように、ちょこちょこと後ろをついてきやがった。

ひよこかよ。お前は。

「ここ、俺の部屋なんだが?」

もう話は終わりだよ。自分の部屋に帰ってくれ。

俺はこれから寝るんだ。全てを忘れてな。

「うん、知ってるよ」

「だよな?」

「ここで、クロティルダとクリスマスリース作って遊んでたんだよ」

何だと?

それは聞き捨てならないぞ。今なんて言った?

「お前、家主の留守中に、よその男を連れ込んでたのか…!?」

「…??一緒に遊んだんだよ?」

知ってるよ。お前がその…所謂、「そういう」ことを考えてないってことは。

でもな、仮に疚しいことがなかったとしても。

勝手に人様の部屋に入ってくるんじゃあない。

「何でお前、勝手に俺の部屋に…!」

「だって、ジュリスがいなくて寂しかったんだもん」

「…」

…え。

「ジュリスがいなくなっちゃって、寂しくて、ジュリスのベッドでころころしてたんだよ」

「…」

「寂しいなぁって思ってたら、クロティルダが来てくれたの。ジュリスがいない寂しさを、クロティルダが紛らわせてくれたんだよ」

「…」

「ジュリスが帰ってきてくれて、良かった」

えへへ、と照れ臭そうに、そして心底嬉しそうに笑うベリクリーデ。

…なぁ。

…ズルくね?

こんないじらしいこと言われたらさぁ…。…許さざるを得ないじゃん。

…よし、分かった。

「…俺、今度から出張任務は、全部断ることにするよ…」

ごめんな、シュニィ。申し訳ないんだけど。

たった数日でもベリクリーデの傍を離れたら、あまりにも代償がデカ過ぎるわ。