神殺しのクロノスタシス〜外伝集〜

「俺も警戒しておく。だから、お前も…」

ベリーシュはベリーシュで、ベリクリーデから目を離さないでくれ。

そしていざとなったら、ベリクリーデを守ってやって欲しい。

ベリーシュもそれは心得ているようで、すぐさま了承した。

「…分かってる。それに…」

それに?

「私自身、彼のことは気になってるの。だからもし、機会があったら話してみる」

ベリーシュが、直接クロティルダに?

「…無理はするなよ。危険だと思ったらすぐに戻れ」

クロティルダが何を考えてるのかなんて、分からないのだ。

ベリーシュが突然出てきて、時分にとって邪魔な存在と見るや。

ベリクリーデの中から、ベリーシュを消そうとするかもしれない。

「うん、分かってる。気をつけるよ」

「あぁ、そうしてくれ」

そう言うと、ベリーシュは頷いて。

それから、ふっと目を閉じた。

そのまま、ベリーシュはベリクリーデの奥深くに戻っていった。

代わりに、ベリクリーデの意識が呼び起こされた。

「…ふぇ?」

再び、ぱちんと目を開いた時には。

そこにいるのは、もうベリーシュじゃなかった。

「入れ替わった」のだ。

「…ベリクリーデか?」

「?ジュリス?」

その間抜けな、ぽやん顔。

間違いなくベリクリーデだな。見れば分かる。

「…ジュリスだ!わーい。おかえり〜」

嬉しそうに、両手を広げるベリクリーデ。

「お土産ちょうだい」

「…ったく…」

お前は他人を信用し過ぎだ、とか。ベリーシュを見習え、とか。

あのクロティルダって奴とどういう関係ないんだよ、とか。ベルーシャって誰なんだよ、とか。

聞きたいことは、山のようにたくさんあるのに。

…この間抜け顔を観ていると、全部どうでも良くなってくるから不思議だよな。

…すると、そこに。

「…どう?修羅場終わった?」

「…キュレム…」

薄情にも、シュニィを連れて逃げていたキュレムが、ひょっこりと戻ってきた。

…何が修羅場だよ。

「まだ終わってないって言ったら、どうするつもりなんだよ?」

「逃げるに決まってんだろ」

「そうかい」

ったく、大きなお世話だっての。

だが、キュレムがいるなら丁度良い。

「キュレム、お前はあの天使…クロティルダのこと知ってんのか?」

「あ?ベリクリーデの元カレだろ?」

言い方、言い方。

「そういうのじゃねーよ」

「えっ?元カレが縒りを戻しに来て、今カレと修羅場ってんじゃないの?」

「…どういう勘違いだよ…」

俺とベリクリーデはそういう関係じゃないからな。誓って。