神殺しのクロノスタシス〜外伝集〜

呆気に取られている俺に、ベリクリーデは、はい、と玩具を差し出した。

「一緒に開けよー。楽しみだね」

わくわく、とクリスマスプレゼントを開ける子供のよう。

開けるって…。こんな大量の玩具、一体どうやって、

「じゃーん」

と言ってベリクリーデは、乱暴にビニールの包装を破った。

こら。ちゃんとハサミを使いなさい。

包装を開けて出てきたのは、着せ替え人形でも、ビーズセットでもなく…。

「…え、お菓子…?」

「うん」

玩具を買ったというから、てっきりデパートの玩具売り場に売ってるような玩具を買ったんだろうと思っていたが。

ベリクリーデが買ってきたのは、玩具は玩具でも、食玩。

子供向けの、お菓子に玩具のおまけがついてる、アレだ。

ちっちゃい時、集めなかったか?

ランダムのシールとか、カードとかが同封されててさ。

それをコレクションして、たまにレアシールが出るとテンション上がる。

ベリクリーデも、それを買ってきたらしい。

しかも。

「お前っ…まさかこれ、全部…!?」

「?うん」

こくり、と頷くベリクリーデ。

マジかよ。

部屋を埋め尽くさんばかりの荷物。

これ、全部食玩なのか?

コンプ勢かベリクリーデ。お前はコンプ勢なのか?

いくらなんでも買い過ぎだろ。限度ってものがある。

しかし、ベリクリーデはお構いなしで。

ペリッ、と食玩を開封。

まず出てきたのは、お菓子。

「見てー、ジュリス。お菓子だよ」

「あ、あぁ…。ウエハースだな」

チョコを挟んだ、チョコウエハース。

安っぽい味なのに、何故かたまに無償に食べたくなる。

そんな不思議な魔力を持ったお菓子である。

しかし、ベリクリーデの目的は、そのチョコウエハースではない。

同封されている、黒いビニールに包まれたおまけの玩具。

この商品に同封されている玩具は、シールでもカードでもなく、キーホルダーだった。

ちっちゃくて可愛い、デフォルメキャラのキーホルダー。

「わー、見て見てジュリス」

「は、はぁ。良かったな…。…って、何だそれ…!?」

俺は、思わず目を疑った。

だって、そのキーホルダー。

あろうことか、バケモノだった。

真っ白のノースリーブワンピースを着て、異様にひょろひょろと背が高くて。

長い髪が顔を隠した、不気味なバケモノ。

こ、これって…。俗に言う、都市伝説のアレ…?

ま、まさか。きっと見間違いだ。

「ベリクリーデ…。何なんだ、これ…」

「んーと、このキャラは…あっ、『はっしゃくさま』だー」

やっぱり。

予想通りのワードが出てきて、俺は思わず背筋が寒くなった。