神殺しのクロノスタシス〜外伝集〜

他にも、出るわ出るわ。ゴミの山。

「何ですこれは」

「い、イレースちゃん!それはゴミじゃないよ。昔、生徒にもらったお土産のクッキーの包装紙、あぁっ!」

容赦なく、ゴミ袋行き。

「これは何なんです」

「ゴミじゃない!それは捨てないで!ケーキについてたメッセージカード、あぁっ!」

ゴミ袋(ry。

「このゴミは何です」

もうゴミって言っちゃってるし。

「ゴミじゃないよ!それは昔、卒業する生徒にもらった押し花のしおり、あぁっ!」

ゴミ(ry。

「このゴミは?」

「ゴミじゃないんだってば!昔書いた魔導書の下書きを取っておいて、あぁっ!」

ゴ(ry。

「この破れたゴミは何です」

「それもゴミじゃないの!大昔に卒業した生徒からもらったお手紙、あぁっ…!」

(ry。

…ついには。

「これはゴミですね。えぇ、ゴミです」

「せめて聞いてから捨てて!ねぇ、イレースちゃん!何も聞かずに捨てないでー!」

とうとう、「これは何か」と聞く前に、イレースの自己判断でゴミ袋へ。

とにかく全部ゴミ、という判断らしい。

「酷い!酷いよ、38年前に卒業した、アルテナちゃんにもらった押し花なのにー!」

喚くシルナ。

何年前に卒業した生徒とか、その名前まで、よく覚えてるもんだな。

文房具などのどうでも良いものは、しょっちゅうなくしてる癖に。

自分の学院に入学してきた生徒の顔と名前を覚える、この記憶力だけは決して衰えることがない。

それ故に、思い入れが深くて、物を捨てられない原因になってるんだろうが。

…それにしたって、ケーキの包装紙は捨てろよ。

「酷いよー!ねぇ、羽久〜っ!!」

俺に泣きつくな。鼻水をつけるな。

…はぁ。

「…イレース。昔の生徒からもらった手紙や寄せ書きなんかは、残しておいてやってくれないか」

俺だって、鬼や悪魔じゃないからな。

それくらいの「思い出の品」は、救っておいてやるよ。

とにかく全部を捨ててスッキリさせたいイレースは、シルナを庇おうとする俺を、ジロッと睨んだ。

怖っ…。

…しかし。

「…ちっ、仕方ないですね」

イレースも、シルナの生徒達への思い入れの深さは知っている。

だからこそ、慈悲をかけてくれたのだろう。

生徒からもらった手紙類は、ゴミ袋からサルベージすることを許してくれた。

イレースが慈悲をくれるなんて、滅多にないことだぞ。

「あぁ、良かった。こっちはアルテナちゃんからもらった押し花、こっちは卒業したサリト君のくれたお手紙…!」

シルナは、生徒にもらった思い出の品をゴミ袋から取り出し、半泣きであった。

…良かったな、せめてそれだけは残してもらえて。