神殺しのクロノスタシス〜外伝集〜

店先には、様々な種類のビーズで作られた、様々な種類のアクセサリーが売られていた。

若い売り子が、外国語で「いらっしゃいませ」と微笑んだ。

どうも。

ちょっと、見せてもらうぞ。

本当に、色んな種類がある。ブレスレットから、ネックレス。指輪にブローチまで。

ビーズの大きさも大小で、丸かったり三角だったり四角だったり、もっと複雑な形だったり。

色も様々。赤や緑や青、白や透明などのビーズが組み合わされた、美しく繊細なデザイン。

派手なものからシンプルなデザインまで幅広く、特別な時だけではなく、普段使いにも最適。

へぇー。綺麗だな、これ。

でも、お高いんでしょう?

こちらが外国人と見るや、すーぐ吹っ掛けてくるんだから。余計に。

…よし、試しに。

「すみません、これっていくらなんですか?」

俺は、外国語と身振り手振りで、売り子に尋ねた。

売り子は、値段を答えてくれた。

思ったより安かった。

いくらぼったくられるかと身構えていたものだから、これには拍子抜け。

意外とリーズナブル。

旅行客だけじゃなく、普段の買い物に来た一般市民にも手が出しやすいお値段である。

よし。この店で選ぼうかな。

「えーっと…。どれが良いかな…」

店先で悩んでいると、女性の売り子がにこにこしながら。

「恋人にプレゼントですか?」

と、聞いてきた。

思わず噴き出すところだった。

「違います。友達、ただの友達です」

大袈裟なジェスチャーをしながら、大いに否定。

それなのに若い女性の売り子は、相変わらずにこにこしながら。

「あぁー、友達、友達ね。うんうん。友達なのねー」

とか言ってた。

おい。それどういう意味だよ。

「本当に違いますから!」と強く否定したいところだったが。

こういう時は、強く否定すればするほど肯定の意に受け取られてしまうことを、俺は長年の経験で知っている。

…畜生。

誤解されたままなのは悔しいが。

…もう、さっさと買い物済ませよう。

えーと…ベリクリーデに似合いそうなアクセサリー…。

あいつ顔だけは良いから、何でも似合うと思うけど…。

「…お」

俺は、ふと緑色のビーズのネックレスが目についた。

これなんか似合うんじゃないか?

いつだったかあいつ、「緑色が好き」って言ってたし。

でもこれ、ネックレスにしては短いような…。

ブレスレットにしては大きいし…。…チョーカーか?

俺が、そのネックレス(?)を手に取り、じっと見つめていると。

「それにしますか?」

と、売り子が尋ねてきた。

「あ、いえ…。これ、ネックレスですか?」

俺は、首元に輪っかを作るようなジェスチャーをして尋ねた。

すると、女性の売り子は首を横に振った。

「それは、頭につけるんです」

と、答えた。

え、頭?