神殺しのクロノスタシス〜外伝集〜

「…な…」

…何なんだ。

誰なんだ。このおっさん。

突然ベリクリーデちゃんと共に現れ、無駄に格好良い銀ピカの蛇腹剣で、バケモノを一刀両断しやがった。

それ…コスプレ用の小道具じゃなかったのか。

俺は目を白黒させていたけど、ルイーシュは俺よりも冷静で、

「とりあえず、敵なのか味方なのかだけ教えてもらえます?」

と、聞いた。

なんてアバウトな質問だ。それで良いのかお前は。

いや、良い。正体の分からない奴が現れたら、まずはそれが敵か味方かどうかを判断しなければ。

…敵だったらどうしよ。

コスプレ蛇腹剣男は、こちらをちらりも見て答えた。

「俺のことは気にしなくて良い」

「ふざけんな」

思わずそう言ってしまった。

「この状況で、『気にするな』って言われて気にしないで済む奴がいるかよ」

「俺は気にしないですけどね。気にするなって言うなら」

「おいルイーシュ。もうちょっと興味を持て」

うっかり敵だったらどうするんだよ。

すると、シュニィが。

「あの…あなたは誰なんですか?どうしてベリクリーデさんと一緒にいるんです?」

警戒を強めながら、そう尋ねた。

そうだ。今この場所には、聖魔騎士団魔導部隊の仲間達がいる。

こいつが如何に、無駄に格好良い蛇腹剣使いだろうと。

このメンツで、倒せない敵はあんまりいない。

多分勝てる。自信を持て。

「もしかして…ベリクリーデさんを連れ去ったのは、あなたですか」

目を細め、手を後ろに回して杖を握ったシュニィだったが。

そんなシュニィを見て、ベリクリーデちゃんはきょとんとしていた。

「…?何でシュニィ、怒ってるの?」

「えっ…?」

「何でみんな、ここにいるの?ここジュリスの部屋だよ?」

…そうだけど。

それを言うなら、何故君はわざわざジュリスの部屋に戻ってきたんだい?

ジュリス大好きかよ。

「それは…みんな、あなたを探していたんですよ」

シュニィが、ベリクリーデの質問に答えた。

「ふぇ?」

「突然姿が見えなくなったので…」

「…?ちゃんとお手紙書いてたよ?」

「お手紙…。ジュリスさんのベッドの下に置いてあったお手紙のことですか?」

こくり、と頷くベリクリーデ。

あれ、やっぱ置き手紙だったんだ。

置き手紙ならさ…。もうちょっと分かりやすい場所に置こうよ…。

エロ本の隠し場所じゃないんだから…。

「お手紙、読まなかったの?」

「えっと…。お手紙は読んだんですが…。読まなかったと言うか、読めなかったと言うか…」

シュニィ、お前は優しいな。

「字が汚くて読めなかったんです」と言わない優しさがシュニィらしい。

それに比べて、

「いえ、字が汚くて読めなかったんですよ」

ルイーシュ、お前ははっきり言い過ぎだ。

もうちょっとオブラートに包んでやれよ。可哀想に。