神殺しのクロノスタシス〜外伝集〜

ドブネズミって言うから、もっとちっちゃいのかなーと思ってたんだけど。

天使さんが捕まえてくれたネズミは、中型犬くらい大きかった。

わー。

お肉もいっぱいついてて。美味しい。

更に。

「ほら、これ」

「?なぁに?」

天使さんは、小さなグミみたいなものを二つ、手のひらに差し出した。

「食べてみると良い。メイカイドブドブネズミの目玉だ」

目玉だって。

「目って美味しいの?」

「この生き物は、目玉が一番美味いと言われている」

そうなんだ。すごーい。

一匹につき二粒しか取れないから、貴重だね。

「いただきます」

目玉を一つ、摘んで口に放り入れる。

もぐもぐ。もぎゅもぎゅ。

弾力があって美味しい。チューイングキャンディみたいな甘さ。

「これ美味しいね」

「そうだろう?ほら、もう一つも」

「ううん。もう一つはクロティルダにあげる」

「…俺に…?」

いっぱいあるんだったらまだしも。

二つしかないんだから、一個はあげる。

その時私は、知らず知らずのうちに、目の前の天使さんの名前を呼んでいたんだけど。

無意識だったから、気づいてなかった。

「いや、俺は別に…」

「美味しいよ。はい」

「もごっ。む、無理矢理口に入れるな」

目玉をクロティルダの口に押し込んでおいた。

「どう?美味しい?」

「…まぁ、それなりに」

「良かったね」

「…」

クロティルダは、私をじーっと見つめていた。

「…?なぁに?」

「…いや…。…何でもない。それより、脳みそを食べてみるか?」

え?

「のうみそ?」

「メイカイドブドブネズミの脳みそだ。少しクセがあるが、ハマる人間はハマるらしい」

「ほぇー。食べる」

食べられるものは何でも食べるよ、私。

それも、ネズミの脳みそだって。何だか美味しそう。

「そうか。それなら、こう、焼いたキノコを脳みそにディップして…」

「わーい。美味しい」

脳みそはこってりと甘くて、とても美味しかった。

何だか獣臭いような気もするけど、ちょっとしたスパイスだと思えば、全然平気。