神殺しのクロノスタシス〜外伝集〜

…その後。

ちゃんとルイーシュは俺にもカップ焼きそばを分けてくれたので、呪いは解除しておく。

が、この5つの肉まんはどうしたものか。

「ちょっと、勿体ないじゃないですか。肉まんを残さないでくださいよ」

「もう腹いっぱいなんだって」

しかも、飽きるしさ。

肉まん単体は美味しいんだけど、3つも食べてたら飽きてくる。

いくら辛子で味変したって、限界ってものがあるだろ。

それに、焼きそばも食べちゃったし。

「俺の肉まんが食べられないって言うんですか?」

「お前は買ってきただけだろ。そんな偉そうにすんな」

ルイーシュが手ずから作ってくれたんなら、頑張って食べるけども。

お前はただのパシリだ。

「つーか、自分も食べろよ」

「いえ、俺はあんまん派なんで」

じゃあ、何で肉まんばっかり買ってきたんだよ?

しかも、5つも。

…あぁ、もう良い。いちいち付き合ってられるかよ、ルイーシュの気まぐれに。

それに、肉まんは持ち帰って、温め直して食べても美味しいし。

「あ、そうだ。ベリクリーデちゃんにあげよう」

「ベリクリーデさんに?」

「うん」

今、ベリクリーデちゃんの相方のジュリスは、海外に出張に出ている。

そのせいで、ベリクリーデちゃんは一人ぼっちだ。

「多分、飼い主のいなくなった飼い猫みたいになってるでしょうね」

良い例えだ、ルイーシュ。

「俺もそう思う」

ベリクリーデちゃんは、ジュリスにめちゃくちゃ懐いてるからなぁ。

ジュリスは手を焼いてるみたいだけどさ。

あれ、じゃれてるだけだよ。可愛いもんだ。

リア充爆発しろ。

「肉まんくらいで機嫌が直るとは思えんが、一応気にかけとくくらいはすべきだろ」

「そうですね。ジュリスさん恋しさに、カカシを作って『ジュリスの代わりにしたの』とか言い出しかねませんし」

「マジでやりそうだからやめろ」

ホラー展開じゃねぇか。

あの子、突拍子もないことをするからな。

やっぱり肉まん持ってって、少しでも元気を出してもらおう。

そうしよう。



…しかし。


聖魔騎士団魔導隊舎に戻った時、事態は既に、肉まんで収拾出来る範囲を超えていた。