神殺しのクロノスタシス〜外伝集〜

ルイーシュは、ひょいひょいとはしごを登っていった。

新たな敵が来たとばかりに、群がるスズメバチ。

うへぁ。きもっ。

しかし、ルイーシュは特に気にして無いようで。

「うわー、凄いですね、キュレムさん」

屋根裏に顔を突っ込むなり、何やら感心していた。

「いやぁ、今年は立派なのが出来ましたね。甘くて大きくて…」

「豊作のメロンみたいなこと言ってる場合か!」

観察してんじゃねぇ。さっさと駆除しろ。

「これ、キイロスズメバチですね。ところで、知ってますかキュレムさん」

「はぁ!?」

「スズメバチと言えば、大抵の人がオオスズメバチを想像するんですが、奴らは土の中に巣を作るので、民家に巣を作るのは大抵キイロスズメバチ、」

「雑学を披露してる場合かよ!」

状況分かってるか?なぁ。状況。

俺達今、戦場にいるんだぞ。スズメバチという戦場のど真ん中に。

こんな時にスズメバチの知識を増やしたって、何の意味もないの。

良いから。駆除しろ。

しかし、ルイーシュはひょいひょい、とはしごを降りてきた。

「ふー、疲れた疲れた」

「…何で戻ってきてんの?」

「え?35回刺されたので、交代しに来ました」

「…貴様…」

ビキビキ。

しかし、ルイーシュと喧嘩するのは後だ。

これ以上、スズメバチにタカられるのは御免。

俺は、唯一の武器、竹箒を手に。

「畜生。やってやるよ、畜生!」

「あ、下からGジェットで援護しますねー」

覚悟を決めて、俺は残るスズメバチの巣との戦いに挑むのだった。

危険手当をたんまりもらわなきゃ、割に合わねぇよ、こんな仕事。