神殺しのクロノスタシス〜外伝集〜

俺とルイーシュは、市の役員に案内されて、スズメバチの巣があるという現場にやって来た。

「こちらの家になります…」

「…おぉ…」

…こりゃまた、年季の入った家だな。

「ボロ家ですね」

「おい、ルイーシュ。はっきり言い過ぎだ」

人様の家だぞ。

そりゃ俺だって、「ボロッ」って思ったけども。

趣のある一軒家と言いなさい。

で、それはともかく…。

「…いるなぁ…」

「…いますね」

ぶんぶん言ってんだよ。さっきから。

視界の端に、黄色い影が。

早速スズメバチの皆さんが、俺達を歓迎してくれてるみたいじゃないか。

俺を出迎えてくれるヤツなんて、スズメバチの皆さんくらいのもんだよ。泣けてくるな。

…なんて冗談はさておき。

「…この家に住んでるっていうおばーさんは?」

「既に避難してもらっています。近隣の住民もです」

成程。じゃあ大丈夫だな。

つーかおばーさん、あんたこんなところで、これまでよく刺されずに生きてたな。

あぶねーよ。

「そうか…。じゃ、役所のにーさん。あんたもあぶねぇから、離れててくれ」

「え、だ…大丈夫なんですか?」

「まぁ…やるしかねぇだろ」

ここまで来ちゃったんだからさ。

避難までしてもらっちゃってるみたいだし。

何とかしなきゃいけないことなら、何とかしてみるよ。

「そ、そうですか…。あ、一応、伸縮はしごと、竹箒だけは用意してあるので」

…何で竹箒?

「それじゃ、宜しくお願いします」

市役所の兄さんは、ぺこりと頭を下げて帰っていった。

…で、取り残された俺とルイーシュ。

「…どうします?キュレムさん」

「…どうするも何も…やるしかないだろ…」

…スズメバチの駆除なんて、やったことないんだけど。

なぁ。今更だけどこれ、素人が手を出しちゃいけないことなのでは?

「…まずは、巣を見つけないとな」

「大体、屋根裏にいそうですけど…」

「ちょっと、しばらく観察してみるか…」

ハチ共が家の何処を出入りしているのか、しばし観察。