神殺しのクロノスタシス〜外伝集〜

その人と私は、一緒にクリスマスリースを作った。

クリスマスリース、って知ってる?ツリーとは違うんだよ。

綺麗だよね。

松ぼっくりに、どんぐりをくっつけて…リボンもつけて。

「出来た」

「良かったな」

クリスマスリースの完成。

これをお部屋の前に飾ったら、ジュリスに褒めてもらえ…。

「…何だか違う気がする」

「え?」

ジュリスのことを思い出して、急に自信がなくなってきた。

だって、ジュリスは本当に、とっても器用なんだよ?

それに比べて、私の作ったクリスマスリースは…。

…何だか茶色っぽくて、地味な気がする。

「…ジュリスだったら、もっと上手に作ってくれると思うんだ」

「そうか」

「私は下手っぴ…」

「…そんなことはないと思うがな。これはこれで味があって」

舐めても美味しくないよ?

「どうしたいんだ?」

「もっとカラフルで、キラキラしたのが良い」

「…成程。それじゃ、探しに行くとしようか」

そう言って。

彼は、『門』を開いた。

容易いものだった。自宅の玄関のドアを開けるように。

時空に大きな裂け目ができ、こちらから、向こう側の様子が見えた。

「何…?」

「怖がることはない」

「…怖くはないよ」

だって、この景色…。

何だろう。見たことがあるような、ないような…。

…よし、行ってみよう。

「行く前に、置き手紙でも残していかなくて良いのか?」

「あ、そっか…みんなが心配しちゃいけないもんね」

ちょっとお出かけしてきますって、書いておこう。

えーと、紙、紙…。ジュリスの机の中に入ってる紙を使わせてもらおう。

ジュリスのペンで、お手紙を書いて…。

よし、これをジュリスのベッドの下に置いておこう。

きっと誰かが見つけてくれる。

「よし、準備出来たよ」

「では、行こう」

彼は、こちらに手を差し伸べた。

知らない人についていっちゃ駄目、とジュリスは言った。

だけど、この人は「知らない人」じゃない。

私は、躊躇わずにその手を取った。

握り返す手は、ジュリスと同じように…温かくて、頼もしくて。

そして、懐かしかった。

「うん」

私は、時空の裂け目にトンッ、と飛び込んだ。

怖くはなかった。

ちょっとした冒険の、始まり始まり。