神殺しのクロノスタシス〜外伝集〜

ーーーーー…ジュリスが居なくなっちゃった。

この世から消えたんじゃなくて、出張だって。

よその国に行って、大変なお仕事をするらしい…大変そう。

私も手伝ってあげられたら良かったのにな。

でも、残念ながら私はジュリスほど賢くないから。

ジュリスのお手伝いをしてあげることが出来ない。悲しい。

「…むー…」

ジュリスが居ないと、つまんないね。

自室のベッドの上で、ころころしながら。

ジュリスが以前作ってくれた、松ぼっくりのフクロウを抱っこしていた。

この子可愛いよね。

ジュリスが作ってくれたんだよ。器用だよね。

…あ、そうだ。

私は、しゅばっ、とベッドの上に起き上がった。

ジュリスが帰ってきたら、いっぱいの松ぼっくりで迎えてあげよう。

動物を捕まえちゃ駄目、ってジュリスは言ってたけど。

松ぼっくりを取っちゃ駄目、とは言わなかった。

よし、そうしよう。

私は魔導隊舎の裏庭に出て、拾えるだけの松ぼっくりを拾い始めた。

あ、カサ付きのどんぐりも見つけた。

これをいっぱい拾って、ジュリスにあげよーっと。

「一つ取ってはジュリスのためー、二つ取ってはジュリスのためー」

両手いっぱいに、松ぼっくりを拾い。

私は、それを持って帰った。

…ジュリスの部屋に。

「ジュリスー。松ぼっくり拾ったよ」

と言って、部屋の中に飛び込んでも。

「…」

そこは無人で、誰もいない。

…いつもだったら、「勝手に入ってくるな」とか、「ノックしろ」とか言って、歓迎してくれるのに…。

「…ジュリス…」

…いない。

私は、ジュリスのベッドの上に、拾ってきた松ぼっくりを並べた。順番に。

松ぼっくりはいっぱいいる…でも、ジュリスがいない…。

「…ジュリス、元気かな…」

今頃、何処で何やってるんだろう?

道に迷ったりしてないかな。机の角で足の小指をぶつけたりしてないかな?

あれ、痛いもんね。

一人で寂しくないかなぁ、ジュリス…。

「…」

…いや、一人で寂しいのはジュリスじゃなくて、私だ。

私は、ジュリスのベッドの上にころん、と転がった。

誰もいない部屋の中。一人ぼっち。退屈。

少し前までは…これが当たり前だったんだけどな…。

いつの間にか…ジュリスが一緒にいてくれるのが当たり前になって…。

一緒にいなかったら、凄く寂しい気持ちになる。

不思議だね。

「つまんないな…」

ジュリスのベッドの上で、ころころ。

ジュリスの枕をぎゅーっと抱っこして、右にころころ、左にころころ。

…退屈。

「…ねぇ、君もそう思わない?」

私は、何もない空間に向かってそう尋ねた。