「んー?何?なんか嬉しいことを言ってくれそうな気配がしたなあ、ゆずかちゃん?」
「……ばか、うるさい、なんも言おうとしてない、ばか」
「はは、かわいーね、ゆず」
猫目が優しく細まって微笑まれれば、どうしたって敵わないことを実感する。
慣れてて余裕のある瑛くんに、経験値ゼロのあたしじゃ太刀打ちできない。
あざといという武器は捨ててしまったし、経験値の足りないあたしに装備できる防具は見つかっていないのだ。
何気ない少しにも、あたしはこのひとのように余裕じゃいられない。
かろうじてお酒の無敵モードがあるけれど、あれは諸刃の剣だ。
「うるさい、ばか」
「語彙力さっきの店に置いてきた?」
「……瑛くんの前じゃ、元々ない」



