甘さなんかいらない




「はー……焦った……」




低くて掠れた余裕のない声が落ちてきて、顔を上げようと試みるけど、あたしの後頭部に回った君の手がそれを許してくれない。

上向きに上がったまつ毛が君のせいで潰れる。女子の命なんだけど。




「……連れてこなきゃよかった。ずっと気が気じゃなかった。つーかゆずの隣にいたあいつ誰だよ」


「……しらない、」


「早くゆずのとこ行きたかったのに」


「そ、そんなこと言ったらあたしだって瑛くんが他の子と──」