それでもあたしに正常な判断力も認識力もなくて、ついでてしまったその名前を訂正することもできない。 最近、こんなにも隣にいたのは瑛くんだけだったから、アルコールでふわふわしたあたしの思考に瑛くん以外が登場してくれなかった。 名前を発する口元が瑛くん仕様になってしまったらしい。 バニラじゃない。聞き慣れた心地いい声じゃない、名前すら思い出せない元同級生がもう一段階あたしに近づく。心地良くない香りが、あたしを囲んで支配する。 「そう、俺、えいくん。だから抜けよっか?」