甘さなんかいらない




聞きたくもない悪意ある言葉が鮮明に文字となって脳内で可視化するのはどうしてだろう。


いつだってそうだ。自分にとって嫌な言葉は無意識のうちに取り込んでしまう。



けれど、いくらあたしが被害者面したところでそう言われてしまうのは自分の落ち度。人に嫌われて、悪意をぶつけられることをしてきたのは他でもない自分自身なのだ。


あたしに直接向けられない悪意に対して肯定も否定もする権利はない。



20歳を超えただけのまだまだ子供なあたしには、アルコールと一緒に嫌な気持ちを流してしまう方法しか知らないんだ。



「俺、女の敵がタイプなのかな」と小さく呟かれたことなんて、視界がふわり揺れてきたあたしに届くはずもなかった。




──だから。アルコールに縋ったあたしが正常な判断なんてできるはずがなかった。


さっきまでかろうじて覚えていた隣の元同級生の名前すら、思い出せなかった。




「……柚果ちゃん、俺と抜けない?」