甘さなんかいらない




瑛くんの言う“お礼”にそれ以外の見当がつかなくて、少しだけ体を離して顔を覗き込んだら、いたって君は余裕そうに、それでいてやっぱり寝起きだからか謎の色気を放っていた。


あたしのことを離そうとはせずに、片腕を机に伸ばして、あたしの前にそれを差し出した。



一枚のハガキ。羅列されている文字を追ってみれば、それはあたしの家にも数日前届いたものだった。




「同窓会。ゆず、強制参加ね」




当たり前に欠席に濃く丸をつけようとしていた計画はたった今、崩された。


どうせこの男の“お礼”を断れるわけない。



わかった、と小さく頷けば、目を細めてひどく満足そうに笑みを浮かべてもう何度目かわからないキスをあたしに落とした。