甘さなんかいらない





いつもみたいに呼び寄せられて、またあたしは定位置に収まってしまう。瑛くんの足の間で集中してレポートなんてできるわけがないから、あたしがもう諦めた。




「……ね、瑛くん、今日楽しかった」


「うん、俺も」


「ありがとう、わがまま聞いてくれて」




あたしから向きを変えて、瑛くんと向き合った。この至近距離はやっぱり甘いバニラに酔ってしまいそうだ。



首元に腕を回せば、あたしの頬にひんやりした手が伸びる。



温かく揺れた双眸と、少し歪めた整った顔。意図がわからず、言葉を待つばかり。




「ん。でも俺、もう制服デートはしたくないかも」


「え、」


「柚果の高校時代知ってる全員に嫉妬してどうにかなりそうだから」