甘さなんかいらない





顔の横に二つのクレープを持って尋ねると、こっち、と言いながらどっちもとってくれずに一瞬だけ顔が近づいた。


あたしの唇の端についてしまっていたクリームを舐め取られて、認識した瞬間に顔に熱が集中する。



なんともないように余裕そうに笑う君がいつも通りで恨めしい。




「ねえ!いま外だってば……っ!」


「でもいま俺ら高校生に戻っているわけだし、高校生って無敵じゃん?」


「そ、それはそうかもだけど、でも!!」


「甘かった、ごちそうさまでした」




恥ずかしげもなく涼しげに口角を動かされて、あたしはなす術がない。どうにか反抗したいのに、それもすべて絡め取られて捕まってしまうとわかっている。



どう考えたって、クレープよりホイップより、君が一番甘い。