甘さなんかいらない




箱の中に入ると、行き着く間もないまま撮影が始まってしまう。あたしのほうが慣れているはずなのに、あわあわしてしまって、隣に映る彼氏様は相変わらず涼しげで余裕そうだ。



どんなポーズをしたかももうわからない、次が最後の一枚。



『ふたり顔を近くに、ちゅー!』なんて音声が流れるから、瑛くんを見上げたらばちっと視線が合わさってしまった。



「ちゅーしたらいいの?」


「え、いや、さすがにそんなの残ったらあたしお嫁に行けなくなるし、」


「あぁそう。なら、」




『3、2、1』のカウントダウン。その瞬間に、顎を持ち上げられて唇が奪われて、意地悪な顔で甘く笑った。






「もうお嫁に行けなくなっちゃったね、俺のとこ以外」