甘さなんかいらない




「あぁ、全く残酷じゃないね。安心してよ井上くん」

「……まあ、そうだな」




まだどこか、俺を警戒していそうだ。でも別にいいか。俺たちが“元クラスメイト”でしかない事実に変わりはないから。




「そういえば」




完全に心を許してはいない、といった表情の井上くんが思い出したように口を開く。

遥乃ではなく、声色的にも視線的にも俺に語りかけている。




「白いワンピース着た子って、田邊くんの連れ?」


「ああ、柚果? そうだけど」


「柚果ちゃんっていうんだ。さっき飲み物買いに行くって言ってたよね」


「その子、さっきすれ違った時泣きそうな顔してたけど」


「……は、」