甘さなんかいらない




「……ありがと。でも外だし離れて?」


「俺ら以外誰もいねーしいいじゃん」


「……まあ、それもそうか」


「珍しく素直だ」




あたしも負けじと瑛くんの背中に腕を回す。

どこまでも広がる水色に、あたしたちふたりだけの世界だと錯覚しそうになる。


でも脳内お花畑でいいから錯覚していたい。どうしてこんなにもあったかいんだろう。



腐れ縁としか言いようがないこの男が、いつのまにかあたしにとって安心できる場所になっている。



このあったかさが、優しい甘さが、この大きな背中が、この力強い腕が、象徴である甘いバニラが、昔の茶髪とは打って変わった煌めく黒髪が、全部が。




君の全てが、あたしだけのものになればいいのに。