お姫様、かぁ。なら悪くないかも。あたしは昔、お姫様になりたかった。
誰からも憧れられて可愛いオンリーワンなプリンセスになりたかった。
取り繕ったカワイイをお姫様扱いするんじゃなく、あたし自身がなりたかったから。
いま、君のためだけに可愛くいようとしているあたしは、君だけのお姫様になれてる?
にしても、なんでこいつはいつもあたしがときめく言葉をピンポイントで投げてくるんだ。柚果マスターか何か?
指は絡み合ったまま、波打つ浅瀬に近づいていく。跳ねた海の雫は、まだひんやり冷たく感じる。きっともっと暑くなったら冷たさが染み渡っていたはず。
ねえ、今度また、その季節に一緒に来たいな。だめかな。



